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サービス産業が摘発強化の方向に  (H18.2月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

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平成18年1月~12月

サービス産業が摘発強化の方向に  (H18.2月号)

サービス産業が摘発強化の方向に  (H18.2月号)
~誤解だらけの時間外手当算出方法~

最近新聞紙上でサービス残業に関する記事が目立つようになってきました。実際、労働基準監督署がいろいろな企業を臨検して是正勧告を出しているようで、その支払額は巨大なものが報道されております。どうやら労基署は今までの災害防止を中心とした行政から、労働基準の方へ舵をきったように思われます。その中でとりわけ力を入れているのがサービス残業の撲滅なのです(東京の統計ですが、詳しくは下記をご参照ください)。
http://www.roudoukyoku.go.jp/wnew/20030618-extra-wage/20030618-extra-wage.htm
そもそもサービス残業とは何でしょうか。それはいろいろな形態がありますが、要するに時間外手当の支払われない残業ということです。最近は過労死が大きな社会問題として認識され、認定基準も緩和された事に伴い、急速に労働災害として認定されるようになってきました。その認定過程で大きな判断要素になるのが、時間外労働の多さ、なのです。時間外労働に関しては入口管理が重要です。言い換えると残業が発生してからではなく、発生する前に手を尽くすと言うことですが、これに関しては以前にも削減方法を記載しましたので割愛し、今回は良く見受けられる時間外手当の算出方法の誤りについて述べたいと思います。

・基本給しか参入していない
会社によっては基本給のみを分子にしている事がありますが、労基法では参入から除外できる賃金を限定列挙しており、以下の手当以外は含めて計算しなければなりません。
家族手当(ただし扶養人数に関係なく一律に支払われるものは含む)
住宅手当(ただし一律とか定額支給のものは含む)
通勤手当、別居手当、子女教育手当、臨時に支払われる賃金、1ヶ月を超える期間毎に支給される賃金
つまり、営業手当とか皆勤手当とか職能手当とか上記以外のものは算入ベースになると言うことです。

・休日労働の割増率が1.35になっていない
残業の割増率が1.25であることは周知されておりますが、休日労働に関しては1.35の割増率が必要です。ただしここで言う休日労働とは1週間に1日も休みが取れなかった週の1日の休日だけで、例えば日曜日は休日で、土曜や祝日に出勤しても法的にはその日は1.25で問題ありません。

・計算式そのものがおかしい
通常、時間外労働の1時間あたりの単価は、以下のように計算します。
{総支給額(上記の手当を除く)/(365-年間休日)×1日の所定時間÷12}×1.25(1.35)×時間数

例 基本給30万円 家族手当1万円 役職手当1万円 年間休日100日  1日7:30の会社の場合
{31万円/(365-100)×7.5÷12}×1.25≒2,340(1時間単価)

・分母の時間が多過ぎる
上記の計算式でも分るように、分母には1か月当たりの平均所定労働時間が来るのですが、これは現行法上どんなに多くても、173時間45分を超えることはありません。しかし実際には200時間(8時間×25日)とかで割っている事例も良く見受けられます。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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