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別れ際を大切にしよう~特に会社都合の場合~ (H21.5月号) | 西村社会保険労務士事務所|なにわ式賃金研究所

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平成21年1月~12月

別れ際を大切にしよう~特に会社都合の場合~ (H21.5月号)

別れ際を大切にしよう~特に会社都合の場合~ (H21.5月号)

 ここ近年、労使紛争が激増しています。不幸にして労働組合に加入されたり、訴訟沙汰になったり深刻なケースに発展することも少なくありません。中にはやくざまがいの恫喝をもって、威圧的に迫ってくることすらあり、その度に「もう人を使うのが怖くなる」という心情を吐露される経営者もおられます。
 本当に人を使うのが難しい時代になりました。でも人を使わずして、経営を行ってゆくことはできません。どうしたらもう少しスムーズな労使関係が築けるようになり、100%紛争を回避することは不可能だとしても、その確率を減らすことができないものでしょうか。
 私がこの問題を考えるとき、大きな視点では①如何に不良社員の入社を水際で防ぐか、②今いる社員に不満が鬱積しない労務管理を如何に行うか、にかかっていると思うのです。それには以下3つのポイントがあると考えています。そのポイントとは、

1.経営者も労働法に無頓着ではいられないこと(ある程度労働法を知る必要がある)
2.人の感情や心理に配慮した人間関係を心がけること(場合によっては演じる役者のセンスがいる)
3.おざなりにしている手続きや仕組みをきちんと整備すること(特に雇い入れのルールを曖昧にしない)ということです。以下それぞれ解説します。

 とここまでは、前々回3月号の冒頭記事であり、上記1,2のポイント解説は既に述べました。3つ目のポイントだけ、次回以降の宿題になっておりましたので、今回はその続きです。やはり一番の要諦は採用してはいけない人を如何に的確に水際で防ぐかをシステム化することですが、この採用事務に関してはかつても度々記載してきましたのでこの項では省略します。
 また入社後の労務管理で、モチベーションを喚起・継続させる人事制度と心理的報酬が欠かせないことも言うまでも有りません。心理的報酬に関してはここ最近、中心的課題として取り上げてきたところです。人事制度に関しては、また機会を見てお話します。今回は労務管理の最後の部分、離職についてです。これを大きく分類すると以下の通りとなります。
1.辞職(本人からの退職の意思表示) 2.自然消滅(勝手に来なくなる) 3.死亡 4.定年 5.期間満了 6.合意解約(会社からの退職勧奨が多い) 7.解雇(普通解雇、整理解雇、懲戒解雇)

 この中で特に5から7における別れ際が大切です。といいますのも、労働関係のトラブル事案は私の経験上も公的統計上も、この手の離職をめぐって起こることが一番多いからです。しかもトラブルになっているときは、得てして法的な問題というよりも、「恨み」による、感情的なしこりによるものが多いのです。これは普段から鬱積してきた不満もありますからなかなか難しいものがありますが、それでも経営者は別れ際に一工夫欲しいものです。
 そこで私が常に別れ際に関して一つだけアドバイスしていることを申し上げます。そしてこれにより離職後、トラブルを拡大させることなく終了していることが多いのです。これからはいかなる事由であれ、従業員と別れるときはこのようにされてはいかがでしょうか。

1.握手する
離職日には必ず社長が立ち会い、別れ際に握手をしてください。それも片手ではいけません。両手です。こちらから両手を差し出して相手の手を握る感じです(選挙の時、議員が両手を差し出して有権者と握手するイメージ)。心理学的には接触効果といわれるもので、印象の向上につながります。

2.頭を下げる
 握手の際、相手の目を見るとともに、頭を下げましょう。「今迄ご苦労さんでした。ありがとう。」の一言を添えて。

3.今後の幸せを祈念して送り出しましょう。
「(ウチの会社では○○さんの力を充分活かせなかったかもしれないが)次の会社(今後の人生)では、もっともっといい人に出会って、幸せになってくれ。」という感じで、今後の人生の成功を祈る気持ちを伝えましょう。

 ただこれだけです。特に今の経済情勢では、退職勧奨や整理解雇も増えることが予想されます。相手に特に非がない場合は必ずそうして頂きたいし、また相手に問題がある場合でもそうです。社長にプライドが有るのは分かります。むしろ社長から見て問題のあるその従業員に、文句を言いたい気持ちも分からないではありませんが、そこはぐっと我慢です。これだけのことでその後の不毛なトラブルを回避できるとしたらそれでいいではありませんか?

 

 追記 上記の感情的配慮とともに、退職願もしくは退職合意書を必ず、残すようにしてください。これもおざなりに出来ない、別れ際の重要な手続きです。またその他検討すべきことに、1.離職日までの就業及びその間の賃金はどうするか、2.離職票の離職事由をどうするか、3.退職金等何らかの手切れ金は必要か、 4.有給休暇の残日数をどうするか等があり、個別に検討が必要な事項です。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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