メニュー

合同労組がやって来たら・・・・・その対策を考える その1 H22.4月号 | 西村社会保険労務士事務所|なにわ式賃金研究所

インフォメーション(過去のメルマガ)

平成22年1月~12月

合同労組がやって来たら・・・・・その対策を考える その1 H22.4月号

合同労組がやって来たら・・・・・その対策を考える その1

 近年、労使紛争が多発しています。それもかつてのような集団的労使紛争ではなく、個別労使紛争が激増しているのです。会社に不満をもった労働者が第三者を通じて問題解決を図ろうとすることがあり、労基署への申告を始め、労働局紛争調整委員会へのあっせん申立て、簡裁への訴え、弁護士への依頼やその延長として労働審判や地裁への訴えなどバリエーションは多数で、中には親族だの友人だの部外者が参加してくることもあります。そんな中で、企業にとって一番厄介なのが、合同労組へ駆け込むケースでしょう。

 合同労組とは何か?一言で言えば労働法で守られた、得体の知れない部外者集団?です。勿論常識的に話し合える組合もありますが、非常に戦闘的な態様で臨んで来ることがあります。例えば、過度な団体交渉での条件闘争や、集団による威嚇、吊るし上げ、街宣車による会社への糾弾やビラ撒き、ストライキや故意に業務を滞らせる怠業など、様々です。また街宣やビラ撒きは取引先や役員の自宅近くでも行われることもあり、取引の安全や私生活の平穏すら犯されることがあります。

 先ほど労働法で守られていると言いましたが、具体的には主に次の3点です。
1.刑事免責:正当な組合活動に対しては刑事罰を科すことはできない
2.民事免責:正当な組合活動を行ったことについて損害賠償を請求することができない
3.不当労働行為による保護:組合員を正当な組合活動によって不利益取扱い、団体交渉の拒否、支配介入などしてはならない

 
 通常のケースではある日突然、「組合結成通知書」「要求書」「団体交渉申入書」なるものが送られて来たり、直接持参したりします。場合によっては、加入した組合だけでなくさらにその上部団体役員と同伴で来ることもあります。経営者の中には従業員でもない者または退職者との団交を疑問視する方もおられるでしょうが、これは例外を除いて基本的に拒否できません。しかし団交の最初の対応が非常に重要で、不利な慣行を定着させると途中でそれを変えるのは困難です。そこでここでは、最初か肝心として、以下ポイントを解説します。

1 組合員名簿の提出または開示要求

 合同労組の場合、社内組合と違い匿名性が高く、時には誰が加入しているのか全く分からないケースがあります。その場合、相手が正当な交渉権限者かどうか判断ができません。少なくとも当該企業の従業員や退職者がいることを確認します。但し、その確認ができれば名簿の提出強要はできません。

2 人数の制限

 労働組合法は力の強い使用者に対して弱い労働者が団結して労働条件の維持向上のために団体交渉する権利を認めています。しかしこれが中小企業と合同労組の関係では、労働法のことが分からない少数の経営陣と、多数のプロ組合員という、逆に不均衡な構図が生ずることがあります。出席者は双方4名までなど、平等な条件で話し合いをするルールを取り決めすること自体に問題はありません。また書記をおく場合もその人数の範囲内で置くようにします。

3 時間

 あまりにもロングラン交渉は意味がありません。業務にも支障が出ます。1回の交渉で2時間以内とか20時以降は行わないなどの取り決めも必要です。

4 場所

 ロングラン交渉にならないためにも、公共施設などの施設を使用して交渉するのも一考です。何故なら貸切時間が制約され、自動的にその時間で席を立てるからです。また細かいことですが、先に現地に到着し、入り口に近い席を確保する方がいいでしょう。外の施設を使うのは、部外者に会社施設内へ自由に立ち入らせることや、逆に会社が先方にお伺いに行くような慣行も避けたいからです。会場費は安いものです。交互に負担できればいいですが、それくらい会社が持つのも仕方がないでしょう。

5 記録の確認方法

 通常、話しながら記録するのは無理ですし、言った言わないの水掛論を防ぐためにも書記役を置きますが、相手方は断りもなく録音していると考えた方がいいでしょう。録音するなら双方で、しないならしないと取り決めするのも自由です。

 そして団体交渉に臨む訳ですが、交渉に応じることは拒否できないとしても、要求事項に応じなければならない義務はありません。真摯に話し合って、それでもゼロ回答ということは有り得ます。また最初は熱くならず、相手方の言い分をまず聞くことが重要でしょう。何故なら要求書に書かれていることと、実際の要求が違うことがあるからです。交渉が終わるとその場で議事内容にサインを求めてくることがありますが、これは慎重になるべきです。なぜなら標題が議事録、覚書その他どのようであれ、双方が署名または記名押印したものは労働協約という、強烈な権能を持つ文書になるからです。一旦持ち帰って、検討するくらいの慎重さが求められます。

 交渉は生き物ですから、これらを全て思い通りに充足するのは困難かも知れませんが、頭に銘記しておくべき事柄です。

 続きは次回(4月末)にお話いたします。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

前のページにもどる

お問い合わせ