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解雇するほどでもないが、何となく合わない社員をどう考えるか?  H24.3月号 | 西村社会保険労務士事務所|なにわ式賃金研究所

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平成24年1月~12月

解雇するほどでもないが、何となく合わない社員をどう考えるか?  H24.3月号

解雇するほどでもないが、何となく合わない社員をどう考えるか?

今回は、現在シリーズでお届けしております、「中小企業のメンタルヘルス対策 その5」は次回にお届けすることとして、現場でよく遭遇する標記のテーマについて考えたいと思います。

さて日本経済の空洞化が進んでいるといわれ、その要因として六重苦が報じられています。その内容は円高、法人税高、貿易自由化(TPP)の遅れ、環境規制、電力不足と共に労働規制というのがあります。日本はどうやら企業にとって労働規制が厳しいようで、その典型が解雇規制と考えられます。日本の場合、入り口に当たる採用に関しては広い裁量権が認められているのですが、出口に当たる解雇は非常に厳しいのです。裁判になれば一旦雇った人を、ちょっとやそっとでクビに出来ないのです。

で、現実的に労務管理を行う上で、解雇をしたいと思う場面は、「能力不足」「勤務態度不良」という立証が難しい曖昧な事由が多いのです。そして後者の「勤務態度不良」というのはさらににやっかいで、大きく二つに分類でき、一つは生来、協調性がないとか反抗的であるとか、気質的な執務態度自体の問題であり、もう一つは経営者と考え方、価値観が合わないことから来る共感性欠如や反抗的な態度です。そしてこの極めて曖昧な事由で解雇することは法的にほとんど不可能と言えるくらい困難です。しかし一緒にやって行くには非常にストレスになる。このような経営者と共感できないことから反抗的とも言える言動を繰り返す社員を、どのように考えればいいのでしょうか?

 この問題を考えるとき、私はこのように考えています。最終的には社員が折れるべきだと。それが嫌なら自ら身を引くべきだと。

 特に小規模企業の場合、実態上会社と経営者は分離されておらず、一体不可分の関係です。そして経営者は経営上起こりうる全てのリスクに最終的に向き合うこととなります。出資金額の範囲内で責任を取れば良いというような限定的なことにはなっていません。如何なる経営上の問題が生じても、お客様に対して、取引業者に対して、そして社員とその家族に対して最終的に経営者が全責任を負うのです。極論すれば墓場まで会社を背負って行くのです。経営者は会社を選ぶことができません。逃げることが出来ないのです。

 一方、社員の方はどうかというと、最終的に会社がピンチになっても退職というリスクさえ甘受すれば、その他の諸々の責任を負う立場ではありません。しかも失業保険など社会保障政策にも守られています。いざとなれば、逃げることが出来るし、会社や経営者を自ら選択する自由もあるのです。

 勿論、経営者に対する諌言は大いに結構です。むしろ経営者は社員が意見を出してくれるのを本心では望んでいるものです。ましてや経営者の方針や計画に法違反や公序良俗に反するような行いがある場合は諌めるのは当然として、方向性が間違っているのではないかという場合にイエスマンになるのではなく、自らの考えを表明することを否定するものではありません。むしろその方が望ましい部下の姿でしょう。

 しかし方針や考え方がどうしても合わなくとも、その結果に対して最終的に全責任を取るのは経営者です。そのリスクは経営者が引き受けるのです。リスクを取るのは社員の方ではありません。であるなら、最後は社員が折れるべきです。もしそれができないのなら、自ら身を引き、違う経営者の元でその力を発揮すべきです。その方が社員にとっても、良いことです。嫌な経営者の元でくすぶる必要はありません。そこで意地を張る必要もない。合う環境で光ることを目指す方がずっといい。

 仕事に対する価値観は人それぞれ違いがあるでしょう。ただ確実に言えることは仕事は少なく見積もって人生の3分の1を過ごします。また会社での人間関係は場合によっては家族以上に長い時間でお付き合いします。その大事な時間が不満だらけでくすぶった時間でいいはずがありません。

 残念ながら人間はそう大きく変われません。経営者も変わらないのです。そしてその経営者はその会社にずっといます。経営者が居なくなる状況はありません。その状況を変化させられるのは、離脱する事由がある社員でしかないのです。それが現実だと思うのです。

 自分の考えを持ち、意見を出し、提案するのは大いに結構。でもどうしても経営者と合わないのなら、自ら身を引き、新たな可能性を模索してもらいましょう。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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