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「労使コミュニケーションの実態と意義」調査から見えるもの(H25.12月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

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平成25年1月~12月

「労使コミュニケーションの実態と意義」調査から見えるもの(H25.12月号)

「労使コミュニケーションの実態と意義」調査から見えるもの
~社内報を有効に活用しよう~

労使コミュニケーションの円滑化は、多くの経営者にとって大切な課題であると認識されています。良好なコミュニケーションは良好な社内風土につながり、ひいては企業力のアップに繋がると考えられるからです。
先般、(独)労働政策研究・研修機構が昨年末に企業と従業員のコミュニケーションの実態を調査した結果が、「労使コミュニケーションの実態と意義」として まとまりました。これは30人未満の企業のアンケート結果も集約されており、政府統計よりもかなり小規模中小企業の実態も反映したものとなっています。
ただ、調査の性格上、経営者が本当に知りたいコミュニケーション技法、どうしたらいいの?という疑問に関することはこの調査からは詳しく読み取ることはで きませんが、その中から関心があると思われる「労使コミュニケーションの手段・方法」という項目に絞ってご紹介し、若干の提案も試みたいと考えています。

まず企業が従業員側とのコミュニケーションを円滑にするため制度として実施している手段は、多い順から以下の通りとなっています(回答は事前に用意された項目からの選択式)。
1.朝礼(69.1%)
2.経営者と管理職の懇談会(59.9%)
3.パーティや懇親会(58.6%)
4.経営方針・経営計画発表会(51.8%)
ここまでは5割を超えている施策で5割以下の施策では、
5.日報(49.8%)
6.経営理念の作成(43.0%)
7.社内の各種委員会等(41.3%)
8.集合研修(40.0%)
9.社員旅行(39.0%)
10.小集団活動(30.6%)

この中で、コミュニケーション円滑化のために重要性か増加しているかどうかを尋ねたところ、「2.経営者と管理職の懇談会」と「4.経営方針・経営計画発表会」の項目を除いて、ほとんどの項目で「変化なし」という回答が最も多かったようです。
これは推測ですが、この調査は経営指針を非常に重視する中小企業家同友会の会員企業にも調査を依頼している影響が大きいのではと思います。また「変化な し」という回答はネガティブな印象を持ちますが、もともとコミュニケーションの変化というのは、非常に『緩慢な変化』であるため、実感しにくいことが影響 しているように思います。緩慢ではありますが、継続すれば5年前とを比較すると、確実に変化は起こっているものと思います。

再び調査結果に戻りますと、労使コミュニケーションの円滑化のため、従業員の要望や不満を表明するルートについて尋ねたところ、以下の順になりました(回答は事前に用意された項目からの選択式)。
1.目標面談など上司と部下の話し合い(61.6%)
2.自己申告制度(42.1%)
3.提案制度(投書箱、目安箱含む)(32.2%)
4.苦情処理制度(24.7%)
5.従業員意識調査(24.5%)
6.人事労務担当者による巡回個人面談(24.1%)
7.電子メールによる提案制度(19.1%)

上司と部下の話し合いが重要であることから、「1.目標面談など上司と部下の話し合い」は仕組みが無くてもできることから、一番多いのは理解できま すが、前段にある『目標面談』がどの程度行われているのか、もっといえば従業員に対して経営者が「こうなって欲しい」「こうして欲しい」という思いが仕組 みとして伝わっているのかは疑問なところです。2から4の施策は制度が設計されていないとできない項目です。大多数の中小企業ではここまで制度設計されて いるかも疑問です。

ここまで「労使コミュニケーションの手段・方法」という項目に絞って、ご紹介しましたが、経営者の皆様、ご自身の企業ではいかがでしょうか?何か参考にできる施策はありましたでしょうか?
他のの企業ではどのようなことを行っているか、その一旦は垣間見れたのではないかと思います。

今回はここまでとして、次回は上記調査に上がっていなかった施策である「社内報」の効用について、ご提案申し上げたいと思います。

(文責 特定社会保険労務士 西村 聡)

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