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同一労働同一賃金ガイドライン(案)が出た影響は? (H29.3月号) | 西村社会保険労務士事務所|なにわ式賃金研究所

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平成29年1月~

同一労働同一賃金ガイドライン(案)が出た影響は? (H29.3月号)

同一労働同一賃金ガイドライン(案)が出た影響は? (H29.3月号)


最近、報道においてよく耳にすることが多くなりました。現政権が目指そうとしているらしい?「同一労働同一賃金」という言葉です。昨年12月20日に、「同一労働同一賃金ガイドライン(案)」なるのもが初めて発表されました。

その内容は、このガイドライン(案)の趣旨目的を明らかにした上で、賃金(基本給、賞与、手当)・福利厚生・教育訓練や安全管理について、非正規労働者においても正社員と同じ雇用管理であれば同一にし、違うとしても違いに応じた処遇をすべきとして、それぞれ<問題とならない事例>と<問題となる事例>を示しています。

例えば賞与について言うと、<問題となる事例>として、①企業への貢献度に応じた支給をする会社において、正社員と非正規社員で同一の貢献度があるにもかかわらず、正社員のみ支給しているケース、②正社員は職務内容や貢献度にかかわらず支給しているが、非正規社員には支給していないケースが挙げられています。

このガイドライン(案)による影響ですが、結論を先に申し上げますと、直ぐに企業が何かを対応しなければならないことはありません。むしろ、様子見をした方が良いくらいです。


そもそもこのガイドライン(案)には、何の拘束力もありません。また、今回ちょっと変わっているのは、通常、ガイドラインと言うのは、まず大原則となる法律が先にあり、本則に書ききれない細かなことを政令や施行規則で定め、さらに運用解釈を助ける指針として出されるものです。にもかかわらず、今回はガイドラインが先に出てるという得意なケースです。しかもその(案)です。


更に言うと、現在我が国には、今まで同一労働同一賃金を規定した法令も、司法判断も存在しません。つまりこのガイドライン(案)は、考え方や将来に対する方向性を示したものでしかないのです。

ただ、今後こういった方向で法制化を進めるということを宣言するかのような、政府の強い意志が感じられます。前文に書かれている「我が国から「非正規」という言葉を一掃する」と言う文言にも現れています。この同一労働同一賃金と、長時間労働の削減による生産性の向上という施策は、大命題の政策とされているのです。


今後、労使代表の協議を経て、どのように決着するかは予断を許しませんが、今後の労務管理についてはっきり言えることが一つだけあります。
それは「正社員と非正規社員の待遇を全く同じものにしなければならないという単純なことではなく、差があっても良いが、その差は不合理なものであってはならない」という根本を見失わずに、処遇することです。この解釈は、現行法の労働契約法第20条、パートタイム労働法第8条から導くことができます。合理的でなくとも良いが、不合理はダメだ!ということなのですが、分かりにくいですね。


待遇に差異が生じるのであれば、次の4点のいずれかを、如何にきちんと説明できるかがポイントとなるのです。

①職務の内容の違い
②その職務に伴う責任の程度の違い
③人材活用の仕組み(配置転換、キャリアコースなど)の違い
④その他諸々の事情

④は違いの説明というより、世間一般の状況とか、他の待遇面の向上とか、労使の話し合いの経緯とかいった色々な事情のことです。


いずれにしても予断を許しませんが、少なくとも欧米のような均等な同一労働同一賃金にはならず、均衡に配慮した同一労働同一賃金になって行くものと考えられます。最終的な姿がどのようななるかは分かりませんが、非正規社員の処遇を改善するという大きな方向性は変わらないと思われ、そのためには上記①から④を意識した労務管理が益々必要になって来るでしょう。

(参考)

◎同一労働同一賃金ガイドライン(案)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf


◎労働契約法 第20条

(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。


◎パートタイム労働法 第8条

(短時間労働者の待遇の原則)
事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 (文責 特定社会保険労務士 西村 聡)

 

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