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中小企業でヘッドハンティング採用をする場合の留意点(H29.12月号) | 西村社会保険労務士事務所|なにわ式賃金研究所

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平成29年1月~12月

中小企業でヘッドハンティング採用をする場合の留意点(H29.12月号)

中小企業でヘッドハンティング採用をする場合の留意点(H29.12月号)

●中小企業でヘッドハンティング採用をする場合の留意点(H29.12月号)


中小企業の社内風土で欠落しがちなものに、適度な「上昇志向」と「競争原理」があります。大企業のようにゼネラリスト(管理監督者層)やスペシャリスト(高度技術者)が社内から育ちにくい社内風土の中で、こうった人材を外部に求めて、採用をすることがあります。大手企業の管理職クラスの方、或いは親企業や取引銀行からの再就職者が典型的な例ですが、これが上手く行かないことが実に多いのです。これらを仮に「ヘッドハンティング採用者」といいますが、私の20年に渉る社労士としての企業サポートの経験から、上手く機能した事例は非常に少ないというのが正直な印象です。

この原因は色々推測されるのですが、大別すると以下3点に絞られるのではないかと考えています。


◎そもそも社長とソリが合わなかった
◎中小企業の「あれもこれも」に合わなかった
◎ミッションをはっきり伝えていなかった

どういうことでしょう?

1.そもそも社長とソリが合わなかった


これはひと言で言うと、社長の価値観や感性に合わないことから来るもので、結局ミスマッチを起こし、それが社長のストレスとなってしまうケースです。最悪の場合は喧嘩別れのような事態に陥ることもあり、退職後も感情的なもつれから、トラブルが長期化することがあります。

中小企業の一般社員の採用方針の鉄則に、知識・能力よりも、社長の好みを優先するということがあります。要するに社長が好きな性格傾向の方をまず優先すべきで、スキルはその次ということです。よく2:6:2の法則と言われますが、上位2割の人材は最初から来ないと思った方がよく、また狙うべき人材でもありません。仮に運よくスキルの高い人材を採用出来ても、結局、受け入れる企業にその体制がなければ早期退職されるだけです。

特に社長が全社に目の届く範囲の規模であれば、社長の好みに合うかどうか、自分の会社の社風に馴染むかどうかを優先し、その人物が下位2割でなければ、採用するべき人材と言えるでしょう。これを仮に「合う人優先採用」とします。

ところが、「ヘッドハンティング採用者」の場合は、どうしてもこの「合う人優先採用」の法則から外れます。つまり社長に合うかどうかは二の次で、まずスキルや知識を優先します。ここに落とし穴があるのです。一目惚れしたがために判断が鈍り、付き合いだしてみたものの、一緒に居ると嫌な面が見えてくる、そんな感じでしょうか?


ですからここでいえる事は、

a.合わない可能性のあることを承知の上で覚悟をもって採用するか、
b.やはり「合う人優先採用」を貫くか、

の選択が必要だと思うのです。


2.中小企業の「あれもこれも」に合わなかった


これは図に書いてみると視覚的に分かり易いのですが、まず円グラフを思い描いてください。大企業の力量を表す円グラフは直径10メートルもある大きな円です。一方、あなたの企業は直径10センチだとします。とっても小さな円になるはずです。

大企業は10メートルもある大きな円ですが、そこに働く一人一人の占める面積は、恐らく棒線程度の面積しかありません。外周円から中心点まで長い線にはなりますので、非常に深いのですが、面積的には棒線くらいにしかならない。
しかしあなたの企業は小さな10センチの円ですが、僅か4名しかいません。これを円グラフの面積にすると90度の角度、つまり4分の1の面積を占めることとなります。

イメージ出来たでしょうか?


中小企業では、一人一人の面積は深くはないけれども、幅が非常に広いことになります。これはどういうことを意味するのかと言うと、つまり中小企業は「あれもこれも」やらなければ行けないのです。例えば事務職だからと言って、経理だけに特化することはなく、総務も、人事も、庶務も、或いは財務もやる。人手が足りなければ、倉庫も手伝うし、検品もやる。つまり「あれもこれも」なのです。

この根本的な働き方の違いが大企業の風土しか知らない「ヘッドハンティング採用者」には理解し難いものと思われ、結局、その専門知識を深く活かせることもなく、周囲から浮いてしまい、居場所が無くなって行くような気がします。


ですからここでいえる事は、

a.「あれもこれも」やって欲しいのか、
b.本当にその深い専門知識だけ提供してくれれば良いのか、

の腹積もりが必要だと思うのです。


3.ミッションをはっきり伝えていなかった


後から「ヘッドハンティング採用者」のことで悩んでいるとして、ご相談を受けたとき、お尋ねします。「そもそもこの方に、何を期待して来てもらったのですか?」。
そうすると答えに窮されるのです。社長としては採用すると良いことがあるだろうと期待して来てもらったはずですが、そもそも何を期待していたのでしょうか?
その思いが明確に伝わっていないのです。社長としては思いがあったはずです。「ウチの息子であるまだ年若い専務に、色々と教えてやって欲しい」とか、「前職の経験を活かして欲しい」とか。

でもちょっと待った!!です。その色々と教えるとか、経験を活かすとか、一体何なのでしょうか?阿吽の呼吸で理解してくれるものなのでしょうか?結局、漠然とした期待は分かるのですが、それを「ヘッドハンティング採用者」にきちんと伝えていないのです。通常、「ヘッドハンティング採用者」は自社の初任給相場より、うんと高い給与で招聘します。その割には期待はずれ、となりモヤモヤ感が生じてしまう。


ですからここでいえる事は、

a.最初に何を期待しており、何を成果として出して欲しいのか、誓約文書できちんと伝える
b.万が一、期待はずれだったときに、給与を再改定し易いように「特別保障手当」を入れた雇用契約書を結ぶ


※誓約文書の例は、弊社HPの「各書類のダウンロードコーナー」において、労働契約関係のカテゴリーの中から、「高度管理職誓約書」をご参照ください。
http://www.nishimura-roumu.com/jyosei-roumu-sho/download.html

※特別保障手当については、過去メルマガ「出来ると思って雇ったら期待はずれ・・・そんな時、特別保障手当を活用しよう!(H18.5月号)」をご参照ください。
http://www.nishimura-roumu.com/information/18-1-12/456-2016-04-20-13-21-107.html

 

(文責 特定社会保険労務士 西村 聡)

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