メニュー

最新の知見による新型コロナウイルス、職場での疑問をQ&Aでお答えします(2021.5月臨時号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

インフォメーション(過去のメルマガ)

2021年1月~12月

最新の知見による新型コロナウイルス、職場での疑問をQ&Aでお答えします(2021.5月臨時号)

最新の知見による新型コロナウイルス、職場での疑問をQ&Aでお答えします(2021.5月臨時号)

  

新型コロナウイルスにより第1回目の緊急事態宣言が出てから、ほぼ1年を経過しました。この間の最新の知見をもとに、職場を預かる者として知っておきたいと思われる知識をQ&Aにてお届けします。
ご参考になさってください。


Q.新型コロナウイルスはどの程度の時間、体外で生存するのでしょうか、潜伏期間はどれくらいですか?

A.ステンレスやプラスティックの表面では数日間、空気中では3時間、厚紙の表面では24時間ほど生存するという報告があります。また厚生労働省のホームページによると、プラスチックの表面では最大72時間、 ボール紙では最大24時間生存するとされています。
潜伏期は1日から14日で曝露から5日程度で発症することが多いといわれています。


Q.症状がない感染者から新型コロナウイルスは感染するのでしょうか?

A.新型コロナウイルスに感染した人は、発症2日前から感染性を持つようになり、発症直後にそれが最大となり、 発症後8日で感染性は急激に低下するとの報告があります。また無症状感染者(感染を受けたにもかかわらず無症状の感染者)からの感染も考えられます。そのため、発症前や無症状感染者においても他人に感染させる 可能性があります。また便中へのウイルス排出が示唆されているので、用を足した後は便座を閉める、トイレ後の手指消毒も重要になります。


Q.いわゆる3密を回避すれば、感染は防げるのでしょうか?

A.新型コロナが出現した当初は3密回避が良く言われましたが、新規株に置き換わってからは、ゼロ密が必要となっています。ですから密接、密集、密閉の一つでも該当する場合は、リスクが高いと認識すべきでしょう。


Q.濃厚接触者の定義を教えてください。

A. 患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者で、手で触れることができる距離(目安は1メートル)で、必要な感染予防策(マスクやアクリル板)なしで、患者(確定例)と 15分以上の接触があった者となっています。


Q.従業員が保健所から濃厚接触者と判断されました。自宅待機にさせるべきでしょうか?

A.濃厚接触者と判断されると、保健所から14日間の健康観察および初期スクリーニング(PCR検査等)の受検を求められます。検査で陰性だった場合でも健康観察は必要です。健康観察中には、手指衛生やマスクの着用の徹底、および健康状態に注意を払い、不要不急の外出を控え、やむをえず移動する際にも公共交通機関の利用は避けなければなりません。基本的には自宅待機としてください。


Q.保健所の調査で濃厚接触者と認定されなかった従業員の中に、過去2週間以内に感染者と同じ職場で働いており、接触の機会もあったため、従業員本人はじめその上司や周囲の従業員が 感染の可能性について心配しています。どのように対応するのが適切でしょうか?

A.保健所の判断を基本に考えて良いと思われますが、事業所として更なる対応を進めることも検討可能です。
具体的には、(濃厚接触者と認定されなかった)従業員に対して、自主検査の実施、自宅待機や在宅勤務を指示するなどが考えられます。検査費用は会社で負担することが望ましく、検査のためまたは陰性診断まが出るまで休業させるときは、60%以上の休業手当が必要です。


Q.従業員の家族が濃厚接触者と判断されました。従業員は無症状ですが出勤させてよいですか?またこの間の賃金はどうなりますか?

A.家族(同居者)が濃厚接触者と判断されただけでは、従業員本人を自宅待機にする必要はありません。 ただし従業員には、マスクの着用や手指衛生の徹底などの家庭内での感染予防対策の徹底が求められます。 従業員には自分の体調に注意を払い、体調不良を自覚する場合は出社を控えるよう指示してください。 また家族の検査結果によっては従業員が濃厚接触者と判断されるので、家族の検査結果がでるまでは、出社を控えさせることもありますが、その間は60%以上の休業手当が必要です。保健所から濃厚接触者とされた場合は、保健所の指示に基づく健康観察期間は賃金の支払いは必要ないものと考えられます(異なる見解もある)。
安心して休んでもらうためには、有給の特別休暇を与えることが望ましいです。


Q.発熱はありませんが体調不良を認める従業員にはどのように対応すればよいでしょうか?

A.発熱が無く、体調不良だけでも新型コロナウイルスに感染している可能性はあります。このため、体調不良を感じる場合は出社をしないよう指示してください。なお、体調不良者の復帰の目安は以下の通りです。早期の職場復帰を強く望む場合には、 医療機関で新型コロナウイルスの検査を受けるようアドバイスをしてください。検査が陰性であれば下記の期間を設ける必要はありません。


◎新型コロナウイルスの検査を受けていない体調不良者の職場復帰の目安◎
 発症後に少なくとも8日が経過している。
 解熱後に少なくとも72時間が経過しており、発熱以外の症状(咳・倦怠感・呼吸苦などの症状)が改善傾向である。
・ 解熱剤を含む症状を緩和させる薬剤を服用していない

Q.従業員の家族が新型コロナウイルスに感染して自宅療養を行なっています。従業員は濃厚接触者として自宅待機をしていますが、どの程度の期間自宅待機が必要でしょうか?

A.家族が感染して自宅療養を行なっている場合には、その同居者は濃厚接触者に当たります。同居者の健康観察期間については、管轄の保健所によって異なった判断がされる可能性もあります。自宅療養を行う場合、 同居者の自宅療養解除日から、さらに14日間の健康観察期間が求められることがあります。14日の健康観察期間を経過して陰性ならば問題ないと考えて良いでしょう。


Q.発熱しましたが1日で解熱しました。この様な場合でも「症状が出現してから8日間、解熱してから72時間経過かつ発熱以外の症状が改善(内服薬なし)するまで」自宅待機が必要でしょうか?

A.感染者の中には、ほとんど症状を呈さない者もいます。また無症状感染者の割合が多いこともわかっています。 たとえ1日で解熱したとしても、新型コロナウイルス感染症を否定することは困難です。従業員には、医療機関で新型コロナウイルスの検査を受けることを勧め、診察医の指示を確認するよう指示してください。


Q.感染した従業員を復職させる基準は、どのように設定すればよいでしょうか?

A.感染した従業員を復職させる場合には、診察医や保健所の指示に従うことが原則です。その上で、以下を復職の基準に設定するとよいでしょう。なお宿泊療養・自宅療養を行った場合には、退院基準と同様の基準により宿泊療養・自宅療養が解除され復職が可能となります。 また有症状者と無症状病原体保有者の退院基準は異なりますので、詳しくは保健所等の指示に従ってください。

◎感染した従業員の職場復帰の目安◎
診察医や保健所の指示に従い職場復帰させる。ただし次の条件をいずれも満たす状態で職場復帰させる。
 発症後(ないし診断確定後)に少なくとも10日が経過している。
 解熱後に少なくとも72時間が経過しており、発熱以外の症状(咳・倦怠感・呼吸苦などの症状、ただし味覚・嗅覚障害については遷延することがある)が改善傾向である。
・ 解熱剤を含む症状を緩和させる薬剤を服用していない

Q.従業員自身が新型コロナウイルスに感染した場合の給料はどのようにすれば良いですか?

A.通常は「使用者の責に帰すべき事由」にあたらないため、賃金の支払いを行う必要はありません。ただし、職務又は職場に関連(業務遂行性、業務起因性)して 新型コロナウイルスに感染した場合(職場内における感染など)、使用者が感染防止のために必要な 措置をとっていなかった場合には、民法上の「債権者の責に帰すべき事由」が認められ、賃金全額の支払が必要と解される余地があります。但し業務上となった場合は、労災保険が適用され、業務外でも健康保険加入者であれば、傷病手当金を受給することができます。


Q.接触確認アプリ(COCOA)で「陽性者との接触の可能性が確認された」と通知があった場合 どのように対応したらよいのでしょうか?

A.アプリの画面に表示される手順に従い相談センターへ連絡してください。なお、COCOA」で通知を受けた者に 対する検査は行政検査として取り扱われ、検査費用の本人負担はありません。なお、COCOAで通知があったことだけでは濃厚接触者として取り扱われません(14日間の健康観察の対象としない)。濃厚接触者とされたなかった場合でも、接触があった日から14日間は、可能であれば在宅勤務を推奨し、マスクの着用や体温を測定するなど感染予防策を徹底してください。


Q.事業所における消毒は具体的にどの様に行えばよいでしょうか?

A.新型コロナウイルス感染に対する消毒には、アルコール(70~95%が望ましいが60%台の使用も可)や 次亜塩素酸ナトリウム溶液(0.05%)が有効です。中性洗剤等で軽く汚れを落とした後、消毒液を含ませた ペーパータオル等で、手指が触れる場所(ドアノブ、手すり、スイッチなど)を拭いて下さい。なお次亜塩素酸 ナトリウム溶液は金属腐食性があるので、金属へ使用した場合には水拭きが必要です。なお、トイレの消毒には 次亜塩素酸ナトリウム溶液(0.1%)を用いてください。


Q.布マスク、ウレタンマスク、フェイスシールド、マウスシールドの感染予防効果は、不織布マスクと 同じでしょうか?

A.不織布マスクは約8割程度、布マスクも7~8割程度飛沫の発散を抑制することができますが、ウレタンマスクは約5割、フェイスシールドやマウスシールドに至っては1~2割程度の抑制効果しかありません。そのため、不織布 マスクまたは布マスクの着用が望まれます。不織布マスクや布マスクの手持ちがない場合や、呼吸器や皮膚疾患などで不織布マスクや布マスクの着用に支障があるような場合に限り、ウレタンマスクを使用しても良いと考えます。 フェイスシールドやマウスシールドは飛沫抑制効果がないので推奨できません。


Q.事業所内食堂の利用方法をどのように変更するべきでしょうか?

A.フロアごとに利用時間をずらすなど、利用人数の制限を検討してください。隣の席を空けて着席する、お互い対面を避けて着席する、食事の際には会話をしない、などの工夫も必要です。これまで食品や食品のパッケージを介して感染したとされる事例は報告されていません。ビュッフェ、サラダバーやドリンクバーは、利用者の飛沫がかからないように食品・ドリンクを保護するカバーを設置してください。卓上には調味料・冷水ポット等を置かない方がよいでしょう。ただし、撤去が難しい場合は、利用者が入れ替わるタイミングや繁忙時間帯前後に、アルコールでの消毒、台所用洗剤(界面活性剤)での清拭や用具の交換を行う等、衛生管理の徹底や提供方法の変更を行ってください。


Q.重症化しやすい因子はありますか?

A.以下の方は、重症化のリスクが高いと言われています。特に喫煙は防止し易いので、出来れば禁煙を推奨します。
 65歳以上の高齢者
 悪性腫瘍
 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
 慢性腎臓病
 2型糖尿病
 高血圧
 脂質異常症
 肥満(BMI 30以上)
 喫煙
 固形臓器移植後の免疫不全
 ステロイドや生物学的製剤の使用
 HIV感染症(特にCD4 < 200/μL)
 妊婦


以上の記述は、一般社団法人日本渡航医学会と子駅社団法人日本産業衛生医学会が無料で公開している「職域のための新型コロナウイルス感染対策ガイド 第5版」より抜粋したものを筆者で加筆修正したものです。

(文責 特定社会保険労務士 西村 聡)

お問い合わせ