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従業員のレベルアップの方法を考える   H23.6月号 | 西村社会保険労務士事務所|なにわ式賃金研究所

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平成23年1月~12月

従業員のレベルアップの方法を考える   H23.6月号

従業員のレベルアップの方法を考える
~難しいからといって永遠のテーマにせず、チャレンジして取り組もう~

 労務管理の中で最も困難な政策の一つとして、従業員のレベル(能力)アップがあります。おおよそ教育に関する専門のセクションを持たず、また応募者の範囲も限定される中小企業において、体系的に指導して行くこと自体が難しく、会社が求めるレベルと従業員が発揮するレベルの乖離に悩む経営者も少なくないことでしょう。しかし能力が低いからといって簡単に解雇することは、日本の法制上許されていません。また念じているだけでは改善しないのも明らかです。やはり何らかの対策が求められます。そこで今回は無謀?にもこの永遠のテーマにも近い、非常に困難な問題について、実務的な対策を考えたいと思います。

その対策とは・・・
1.能力基準でなく、仕事基準で考える(キャリアアップシートの活用)
2.対象者の損益分岐点を探る(給料分の稼ぎとはいくらか)
3.自分で対策を考えさせる
4.グラフを使って見える化する
5.毎月チェックする
6.いい行動は強化する
7.インセンティブを与える
8.指導担当責任者を決める

 今後、数回に分けまして、上記それぞれの対策について述べます。今回は、1.能力基準でなく、仕事基準で考える(キャリアアップシートの活用)について解説します。

1.能力基準でなく、仕事基準で考えよう

 一般的にパフォーマンスの低い従業員は能力が低いというレッテルを貼ります。確かに生来もって生まれた能力に差がある事実を否定はしません。しかし能力に全てを押し付けてしまうと、思考停止に陥り、人格攻撃に向うだけで、何ら有効な手立てを打てません。そもそも能力とは一体何でしょうか。辞書には「物事を成し遂げる力」とありますが、会社でいう物事とは仕事そのものに他なりません。つまり当たり前のことですが、その会社にある個別具体的な仕事ができるのか・できないのかが重要で、漠然抽象的な能力なるものにスポットを当てても対策の打ち様がないのです。

 一般的に人事制度において能力主義を採るとき、考課要素に入ってくるのが○○力という能力基準です。例えば企画力とか判断力とか集中力か理解力とか。でもそれをどうやって鍛えるのでしょうか。集中力の欠けると思われる人物に「集中力を出せ」と怒鳴りつけても、仕方がありません。はっきり言って中小企業にこのアプローチは無理です。

 中小企業はその会社で通用する「個別具体的な仕事」をどれだけできるかが重要です。その会社にとって軽易な業務からレベルの高い仕事に慣れさせて行くこと、そしてその量が徐々に多くなって行くことが、能力アップであると考える方が対策がはっきりするのです。そこでお勧めしたいのが、「キャリアアップシート」の活用です。これはその会社に存在する個別具体的な仕事をピップアップします。例えば製造職なら「伝票合わせ」「研磨」「金型セット」とか。営業職なら「見積作成」「テレアポ」「名刺整理」とかとういう具合にできるだけ細分化します。ただその仕事のために行うことを更に細分化する必要はありません(例えば、「掃除」という仕事をするのに、「バケツの用意」など)。
 そうして抽出された仕事を次の4区分で仕分けします。
 1.上級レベル(社長の片腕)、2.中級レベル(さすが、ベテランクラス)、3.一般(一人前)、4.見習い補助(半人前)。今現在、上級レベルの仕事をしている人がいなくても、上のレベルにどんな仕事が待っているのかを分かり易くするために記入します。そして各人が今、4段階のうち、どの土俵に乗っているのかを仕分けします。その上で、「各人のレベルと仕事が合っているか」、「何の仕事ができていないのか又は任せていなかったのか」、「レベルの高い人に何時までも下のレベルの仕事をさせていないか」などを検証します。
 そして今、その人にチャレンジしてもらう(教えるべき)仕事が確定したら、3ヶ月から半年間の期限を切って、集中的にその仕事を任せて、慣れさせて行きます。おおよそ大抵の仕事は、難しくて能力的にできないというよりも、やらせてもらっていない、慣れていないからできないことが多いのです。経営者はその間、辛抱が求められます。

 言葉で書いてもイメージしにくいと思いますので、取り組みを考えたい企業様は、個別にご相談くだされば、一緒に考えて行きたいと思います。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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