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従業員のレベルアップの方法を考える その5  H23.10月号 | 西村社会保険労務士事務所|なにわ式賃金研究所

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平成23年1月~12月

従業員のレベルアップの方法を考える その5  H23.10月号

従業員の能力(レベル)アップの方法を考える  その5

1.能力基準でなく、仕事基準で考える(キャリアアップシートの活用)
2.対象者の損益分岐点を探る(給料分の稼ぎとはいくらか)
3.自分で対策を考えさせる
4.グラフを使って視える化する
5.毎月チェックする
6.いい行動は強化する
7.インセンティブを与える
8.指導担当責任者を決める

 前回は上記のうち、4の「グラフを使って視える化する」について申し上げました。今回はその第5弾、「毎月チェックする」について、考えたいと思います。

 従業員のキャリア形成を行う場合、半年ごとに1回のペースで、人事考課として行うことが一般的に行われています。おおよそ年2回支給するボーナスの査定期間
に合わせて行うことが多いようです。

 このテーマの本題とは少し外れますが、まず最初に確認しておきたいのは、この人事考課(と呼ぶことが多いもの)は、決して査定のために行うものではないとい
う事です。そこには必ず、「従業員のキャリアアップ」の視点、つまり従業員に継続的に成長して欲しいという視点がなければなりません。そのためにはどうしても
査定というイメージの強い「人事考課」という言い方よりも、「キャリアアップのための面談シート」とか「社員育成プロジェクト」とか、何でもいいですから社員
の育成のために行っているということが分り易い呼び名にした方がいいでしょう。ちなみに当社では「毎月 会社と従業員の確認シート」という名で行っています。
 
 要するに何のために行っているのかという、「目的」がはっきりしていないとぼやけるのです。簡潔にまとめれば「経営目標を達成するための社員育成の仕組み」
であり、その確認作業は「経営の意思の伝達とフォードバック」の作業です。つまり会社が「こうして欲しい」「こうなって欲しい」というメッセージが社員に伝わ
っているか、そしてそれを受
け止めて成長してくれているかを確認する作業なのです。

 それと前置きをもう一つ。二つの有名なモチベーション理論があります。まず一つはハーツバーグという臨床心理学者が唱えた二要因理論です。ある特定の要因が
満たされると満足度が上がり、不足すると満足度が下がるというのではなくて、「満足」に関わる要因と「不満足」に関わる要因は別のものであると考えられていま
す。
 満足に関わるのは、「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」「責任」「昇進」など。これらが満たされると満足感を覚えますが、欠けていても不満
足を引き起こすわけではありません。これらは「動機付け要因」と呼ばれます。

 一方、不満足に関わるのは「会社の政策と管理方式」「監督」「給与」「対人関係」「作業条件」など。これらが不足すると不満足を引き起こしますが、満たされ
たからといっても満足感に繋がるわけではないとされています。単に不満足を予防する意味しか持たないという意味で「衛生要因」と呼ばれます。

 またアメリカの心理学者マズローは欲求理論を唱えました。これは人間の行動を引き起こす欲求は次の五つの階層を持つとした理論で、人間はこの順番でモチベー
ションが高まるとしました。
   1)生存の欲求(食欲、睡眠など生命の維持に関する欲求で労務管理で言うと生活できる賃金など)
   2)安全の欲求(危険や不安から逃れたい、衣服や住居など生命に関するものを安定的に維持したいという欲求で労務で言うと安定した雇用など)
   3)社会的欲求(帰属の欲求ともいい、集団に所属し仲間からの愛情を求める欲求)
   4)自尊欲求(承認の欲求ともいい、他人から尊敬されたいとか、人の注目を得たいという欲求で、名声や地位を求める出世欲もこの欲求の一つ)
   5)自己実現欲求(各人が自分を高めていこうとする欲求のことで、潜在的な自分の可能性の探求や自己の成長、発展を求める欲求)
 人間は第1段階の生存の欲求が満たされると、より高次元の段階の欲求(第2~第4)を求めるようになり、最終的には第5段階の自己実現の欲求を求めるようになる
としています。

 これらの考え方からも分るように、「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」など動機付け要因を通じて、自尊欲求や自己実現欲求が満たされるよう
に誘導して行くのが、理想の姿です。この理想に近づけるための手段が、いわゆる人事考課と呼ばれるものだと思います。

 で、前置きが長くなりましたが、社員に成長して欲しいと強く望む中小企業ほど、また採用の段階で大手企業が採るような優秀な人材を採用できない中小企業ほど
、この仕組みを導入してゆかないと、偶然の結果しかありません。偶然の結果とは、たまたまいい人が来てくれたとか、たまたまウチの企業に合ったとか、「偶然の
産物」なのです。

 そしてその仕組みで重要なのが、毎月チェックするということです。これは永年の経験上、確信的に言い得ます。なぜなら、半年に1回の確認では労使双方とも確
認すべきことを忘れてしまうからです。総括した重い面談は半年に1回でもいいですが、5分程度の短い時間で毎月簡単に会社と社員が確認し合える仕組みが必要で
す。
 月末とか月初とか給与支給日とか、一定の日を設定しておくことをお勧めします。目的を見失わず、「こうして欲しい」「こうなって欲しい」というメッセージが
社員に伝わっているか、そしてそれを受け止めて成長してくれているかを毎月確認しましょう。

 そのための仕組み作りを当事務所ではお手伝いいたします。お気軽にご相談ください。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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