平成17年1月~12月
人を活かす経営 その② (H17.2月号)
●労務は心理学、勘定だけでなく感情にも配慮する
前回は「見通しを立てる」というテーマでお話させて頂きました。従業員の帰属意識を高めるためには会社の発展した姿、能力やポジションの上がった姿、もっと給料をもらっている姿、自己実現した自分をイメージできるかが重要であるという趣旨の内容でした。今回はどういうリーダーに従業員の不満や苦情が高まりやすいか、産業心理学分野の研究事例からご紹介したいと思います。
リーダーの類型には様々ありますが、その中でPM型というものがあります。PとはPerformanceの略で、仕事中心行動と訳されます。MとはMaintenanceの略で、従業員中心行動という意味です。このバランス度合いによって図表1(略)の4つの類型に分類されます。
【図表1】
高い M(人間中心リーダー) PM(統合型リーダー)
M機能
(従業員中心行動)
pm(放任型リーダー) P(仕事中心リーダー)
低い 高い
P機能(仕事中心行動)
これが表している結論は「仕事に厳しくても、人間関係に配慮のあるリーダーに対しては、そんなに苦情が増えない」ということなのです。A線はP(仕事への厳しさ)が高くても放任でも、苦情の度合いは大差がないことを表しています。それに対してC線は人間関係に配慮していれば、仕事に厳しかろうが放任であろうが、それほど苦情の大差がないことを表しています。
スポーツの監督が練習で選手にどんなに厳しく叱咤・罵倒?しても、選手とは一体感を持っている姿はよくテレビでも見ます。
仕事に対してはプロなのですから、厳しく対応しても一向に構いません。但し人間関係へのフォローがあればです。これがないと離反を招くことになるでしょう。経営は勘定と感情の世界ともいいます。そろばん勘定も人の感情も配慮できるリーダーになりたいものです。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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