平成17年1月~12月
経営理念は社員に浸透しているか~6月号~
●よく安全第一、お客様第一というけれど・・・
JR福知山線の脱線事故では、非常に痛ましい結果となってしまいました。人の命を預かる鉄道事業者としてのJR西日本に対する安全管理のあり方が、大きく問われていることは既にご存知の通りです。
しかし仮に「安全」を大々的にな経営理念の中で掲げたとしても、それが社風として浸透していなければ意味が有りません。よく「安全第一」という標語を目にすることがありますが、末端の社員までその意味が理解されてこそ、経営理念として生きてくるのだと思います。
例えば先のJRの事故でいうと、残念ながら運転士の意識の中には安全よりも優先した何かが他にあったのでしょう。企業が社員に対して「安全第一」というのは、それは現場で「効率(利益)」と「安全」が競合して社員が迷った場合、効率を落としてでも、安全を優先しろ!というメッセージです。もし安全意識が社風として醸成され、凛として社員の行動を律するところまで行っていれば、大惨事にはならなかったと思うのです。
安全だけではありません。顧客第一主義という言葉もよく耳にしますが、果たして社風となって、現場の社員にまで浸透しているでしょうか。顧客第一主義といった場合、極論していれば、お客様のわがままを聞いてあげるということです。例えば宅配業者が荷物を届けるのに、10時指定の配達先と15時指定の配達先が隣同士並んでいるとき、10時に一緒に置いてくれば効率的なはずですが、そうせず一旦持って帰ってでも、再度15時に届けるのが顧客第一主義です。非効率なことでも、現場はブレずにできるのです。
このような経営理念はトップが繰り返し、繰り返し語り、範を示さないと浸透しません。紙に書いて張り出しても、1回朝礼で話をしてもダメです。繰り返し、繰り返すことで伝統となり、社風となるのです。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com