平成17年1月~12月
休職規程 整備のすすめ~7月号~
●うつ病など長期に欠勤する従業員への会社の対応方法
最近、うつ病などの精神障害がもとで長期に会社を休む従業員が増えてきています。一般的な病気や怪我なら回復期も予見可能なことから、そう問題にならないかも知れません。しかし先の見えない疾病によって従業員が欠勤する場合、この間の取り扱いは会社としてどのように対応すればいいのでしょうか。ここでは医学的な対応方法とは別に、会社の労務管理としてその対応方法を考えてみたいと思います。
結論から申し上げますと、中小企業がまずやるべきことは就業規則の中にきちっと休職に関する規定を整備しておくことです。この休職とは、一定の事由により従業員が労務不能となったときに、一定の期間、就労義務を解除して職場復帰を待つという性格のものです。これは法によって規程が義務付けられているものではなく、公序良俗に反しない限り会社が自由に規定することができます。
私がいままで多くの労務問題を見てきた限りにおいて、おおよそ規定を作成するポイントは以下の通りです。
1.休職を発令する事由が適切か?
多くの就業規則はうつ病などの精神障害にみられる、欠勤はしていないが労務提供が不完全という状態に対応できていない。
2.休職期間は適切か?
大手の就業規則や出来合いのものを転記しただけのものは、1年6ヶ月とか異様に長い休職期間が見られる。
3.休職の通知ができない場合の意思伝達はどうするのか?
勝手に休みだして、思うように連絡が取れないことがある。いつから休職を発令すればいいのか。
4.休職期間の通算制度があるか?
特に精神障害は一旦回復してまた繰り返すことが良くある。前後の期間をどうみるか。
5.復職のルールは明確か?
復職願いの提出、会社指定医の診断など、職場復帰のルールが明確になっているか。
6.休職満了時の取り扱いは?
休職が満了したときは自然退職になっているか、またもとの職場へ復帰できない可能性も加味しているか。
7.休職期間中の給料や賞与の取り扱いは?
この期間の給料やボーナスの支給方法が明確になっているか。
8.休職期間中の預かり費の取り扱いは?
休んでいても社会保険料や住民税はかかる。この取り扱いはどうするのか。
9.完全復帰はできないが軽易な業務ならできる場合はどうするか?
特に精神障害はリハビリを兼ねて医師から職場復帰を促すことがある。そんな場合どうするのか。
10.有給休暇の取り扱いは?
休職期間中に有給休暇を使いたいとの要望があった。認める必要があるのか。
規程を見たときにこれらのことにきちんと答えていれば、いざ事案が発生したときも迷うことなく、会社として粛々と対応すればいいことになるのです。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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