平成16年以前のメルマガ
デフレ時代の高齢者活用 H16.7月号より
●デフレ時代の高齢者活用
~年1回は定期健康診断を~
現在の日本経済は完全なデフレ状況です。この圧力は中国からきている部分が多分にあると思いますが、13億の人口を抱える中国が日本並みの物価水準に到達するのは、まだかなり先の話。当分はこの”乱世”状態が続くのでしょうか。司馬遼太郎さんの言葉に、「乱世とは本物と偽者を峻別すること」とありますが、今、まさに我々は次代に生き残ることを許される者とそうでない者に峻別されている最中なのかも知れません。このデフレ時代においてかつてのように毎年、昇給を行うことはもとより、賞与の原資さえまともに出ない中小企業が多いことと思われ、いかに限られた人件費の中でやり繰りするかも、企業にとって、この時代を生き残る生命線の一つになっています。そこで今回は、高齢者の活用によって総額人件費を劇的に削減する方法を考えてみたいと思います。
設定シュミレーション例
○60歳以上の高齢従業員がいる(昭和16年3月生まれ、年金額256.8万円、交通費1月1.5万円、
60歳時の月額総支給額45万円、被扶養者1人あり)
○雇用保険に5年以上加入している
項目 60歳時 最適給与設定額 差額 備考
給与 450,000 289,000 -161,000 ①
健康保険 18,700 11,900 -6,800 ②
介護保険 2,354 1,498 -856 ③
厚生年金 38,170 24,290 -13,880 ④
厚生年金基金 0 0 0 ⑤
雇用保険 2,736 1,737 -999 ⑥
社会保険計 61,960 39,425 -22,535 ⑦=②~⑥
所得税 15,210 6,870 -8,340 ⑧
住民税 0 ⑨
その他控除 0 ⑩
控除計 77,170 46,295 -30,875 ⑪=⑦+⑧+⑨+⑩
差引支給額 372,830 242,705 -130,125 ⑫=①-⑪
雇用継続給付金 71,238 71,238 ⑬
在職老齢年金 0 46,000 46,000 ⑭
年金源泉税 0 0 0 ⑮
差引年金額 0 46,000 46,000 ⑯=⑭-⑮
手取額 372,830 359,943 -12,887 ⑰=⑫+⑬+⑯
会社人件費比較
項目 60歳時 最適給与設定額 月額差額 年間差額
賃金 450,000 289,000 -161,000 -1,932,000
健康保険 18,700 11,900 -6,800 -81,600
介護保険 2,354 1,498 -856 -10,272
厚生年金 38,170 24,290 -13,880 -166,560
厚生年金基金 0 0 0 0
児童手当金 484 308 -176 -2,112
雇用保険 4,239 2,743 -1,496 -17,952
労災保険 7,200 4,624 -2,576 -30,912
人件費等計 521,147 334,363 -186,784 -2,241,408
山田太郎さんの給与を45万円から289,000円にすると給与、年金、給付金の手取は60歳時の額と比べ12,887円の減少となりますが、事業所の福利厚生費を含めた人件費は月額186,784円、年額では2,241,408円の負担減となり、たった一人で劇的な固定費削減効果があります。
山田さんの手取額は60歳時の100%には届きませんが、このケースの場合は96%まで設定することが可能です。幾分は下がる事になりますから、労使よく話し合った上で、進められたほうがいいでしょう。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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