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もう少し頑張って欲しい従業員の方々へ  (H18.1月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

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平成18年1月~12月

もう少し頑張って欲しい従業員の方々へ  (H18.1月号)

もう少し頑張って欲しい従業員の方々へ  (H18.1月号)
従業員にとって会社はお客さん、だから従業員は会社にいい商品を提供しよう

 今回のメルマガは従業員の働きにちょっぴり不満のある経営者の方々の、従業員に対する理論武装の一助になればと思って書きました。会社は従業員に対していい働きを求めるのは至極当たり前というお話です。
 さて労働契約とは一体何でしょうか? これに関して労働基準法には明確な定めはありませんから、一般法である民法の契約の条項に立ち返ることとなります。民法では第3編第2章に契約の条項をおき、その中で雇用契約に関して「雇用は当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる」(民法第623条)と規定しています。この場合、当事者の一方が従業員であり、相手方が会社になることが分かります。分かりやすく読み替えると、「雇用契約は従業員が会社に対して働くことを約束し、会社がその働きに対して賃金を支払うこと」というようになると思います。

 従業員が働くということは契約行為をしているのですが、実態上はあまりピンときません。これが一般的な売買契約ならどういうことになるでしょうか。同法では売買に関し「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる(民法第555条)」と規定しています。この場合の当事者の一方とは売り手であり、相手方がお客さんになると思います。言い換えると「売買契約とは売り手が商品を売り、お客さんがその代金を支払うこと」というようになるはずです。とってもよく似た条文であることが分かります。
 つまり売買契約でいう相手方はお客さんであり、雇用契約でいう相手方は会社ということになり、お客さん=会社という構図が理解できます。会社で働くということはお店で物を買うのと同じ、契約行為の一種なのです。従業員は売り手であり、会社はお客さんということです。それならお客さんがお店で何かを買おうとする場合、安くて品質の良いものを買おうとするのは至極当たり前の行為です。誰も品質が悪い、サービスが悪い高い物に対してお金をホイホイと支払う奇特な方はいないでしょう。むしろ買ったものに欠陥があるとか、サービスが悪ければクレームを言いますし、値引きを要求したり、無償にしてもらったり、取り替えてもらったりするでしょう。もうその店では買わないことになるかもしれません。
 これを雇用契約に置き換えると、従業員の働き(商品)が悪ければ、会社は注意(クレーム)したり、減額(値引き)したり、解雇(不買)したりするという関係でしょうか。しかしご存知のように雇用関係においては民法の特別法である労働基準法その他の労働法により労働者はは保護され、一定の制限が加えられており、簡単に減額したり、解雇したりすることは出来ません。出来ませんが、契約行為であるという根本に立ち返れば、従業員は会社に対して、いい働きを提供し続ける責務があるはずです。売り手はお金をもらうためにはお客さんに対して、いい商品やサービスを提供し続けないと、そっぽを向かれることになるからです。
 確かにバブル崩壊以後、時代は変わったと思います。それまでのように普通に真面目に売っていればそこそこ儲かり、時代が引き上げてくれることはなくなりました。如何に差別化して自己の商品力を高めるかが重要です。従業員も同じです。真面目にやっているだけで評価される時代は終わりました。如何に自己研鑽し、人間力を磨き、自分をを良質な商品として会社に買ってもらわなければなりません。会社に行けばお金がもらえるのではなく、いい商品を提供してお金がもらえることを今一度自覚しましょう。そうすれば、もっともっと自分も会社も幸せになれると思うのです。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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