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攻めの人事 労務の文書化のすすめ    (H18.4月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

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平成18年1月~12月

攻めの人事 労務の文書化のすすめ    (H18.4月号)

攻めの人事 労務の文書化のすすめ    (H18.4月号)
~大事なことを口頭だけで済ませていませんか?~

 私が多くの中小企業の労務管理をお手伝いさせて頂いている中で、かねてから気になっていることがあります。それは何かというと、労務が口頭だけで行われ、あまり文書化されていないことなのです。結構大事なことを、単に口約束だけで済ませている。どちらかと言うと問題意識が希薄なせいか、おざなりにされていることが多いのです。でもこれは非常に問題です。
 例えば問題のある事例としてこういうことがあります。いよいよこの4月から改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は本格的に65歳までの雇用政策を迫られることとなりまが、ここで重要になるものの一つが嘱託雇用契約書です。しかし定年を超えて雇用されている人達に対して、きちっと嘱託雇用契約書を交わしている事例は今まで余り見受けられません。中小企業の場合、定年は一応60歳だが、やむを得ずそのまま継続して雇用しているのことがよくあります。が、ただ何となくだらだらと継続している状態になっている。そうするとこれらの人たちが自ら退職を申し出てこなければ、企業は一体いつまで雇用し続けることになるのでしょうか?
 60歳を超えて継続雇用されているということは、その人はもう定年という概念がありません。嘱託契約書を交わしていないと、期間の定めが自動的に青天井になってしまっています。ちゃんと嘱託契約書を交わしていれば、期間の到来で引退して頂くことも可能ですし、再契約するにしても条件を見直しすることが容易です。つまり1年とか半年ごとに改まってテーブルについて、今後のことを話できるチャンスが生まれるだけでも、どれだけ効果があるでしょうか。そうでなく、ただ単にだらだら継続してしまったら、途中で改まって話を切り出すのは、実際問題として結構言い出しのくいものです。
 こういう事例もあります。人を採用する時に、口頭だけで済ませているケースです。こんなことがあります。応募してきたときの電話の対応はいいし、面接の結果も好印象。即採用を決定し、初日の出社日を伝えました。ところが採用してからしばらくして、その人はひどいうつ病の気があり、入社早々長期間休業する羽目になってしまいました。しかし面接時の受け応えははっきりしていたし、履歴書にも健康状態は良好と書かれており、問題があるようには見えませんでした。採用はしたもののまったく戦力として当てにならず、かといって採用した以上簡単に解雇することもできず、企業はその対応に苦慮しています。
 こんなとき企業はどうしておくべきだったのでしょうか。私ならこうします。まず面接時に健康状態が良好であるなど一定の事項について、文書で会社に告知してもらいます。そして採用を伝えるときには内定通知書を送り、その中に出社日までの間に健康状態や職務歴などに虚偽が露見したときは、採用を取り消すことがある旨を添えます。そして採用初日に雇用契約書を交わすとともに、秘密情報の保持や就業規則を守ることとともに、うそをついて入社していない事などを誓約書に記入して頂きます。こうすることだけでもかなりのリスクが回避されます。
 事業活動を行う上で、設備投資するとか借り入れするとか、大口顧客と取引するとかの時には、必ず何らかの規律された文書が存在しているはずで、口頭だけで済ませることはないと思います。にもかかわらず、人の問題になるとどうして口頭だけなのでしょうか。人一人を雇うということは、重大な契約行為をしているのです。無用なトラブル回避の為にも文書化による攻めの人事をして頂きたいものです。

 ちなみに以下に採用時に使用する書式のサンプルを掲示しておりますので、ご自由にダウンロードしてお使いください。
http://www.nishimura-roumu.com/cgi-bin/nishimurashakai/siteup.cgi?category=4&page=5

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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