平成19年1月~12月
採用は商品開発と同じと考えて、もっと努力しよう! (H19.3月号)
●採用は商品開発と同じと考えて、もっと努力しよう! (H19.3月号)
人を採用するということは、企業にとって売り手行為であると共に買い手行為でもあります。ただ一般的には、労働力を買うという買い手行為の側面が強調されることが多く、実際、求人倍率が低い状況で求人するときを買い手市場といっています。しかし一方で、企業は労働者に魅力的な職場を買ってもらうという視点を忘れてはいけないと思います。特にいい人材を採用したいなら、なおさらです。人材が応募したくなるような企業、是非とも採用して欲しいと願う企業になれるよう、努力を惜しんではいけません。その努力を怠っていながら、ろくな人間が来ないと嘆くとしたら本末転倒です。
ところが中小企業の場合、商品開発や販路拡大には結構努力家なのですが、人材採用となると努力不足なことが多いのではないでしょうか。例えばこんな感じです。 お客様や元請さんに支持されるため或いはライバル社に勝つために、商品やサービスの質を向上させることには熱心です。それが即、売上やクレームに結びつくからでしょう。求人も同じです。そこでせめて次の点検項目に基づいて、自主点検を行われてはいかがでしょうか?
点検項目
1.募集要項の向上に努力しているか ○△×
2.会社の魅力を精一杯提示しているか ○△×
3.HPに採用コーナーを設けているか ○△×
4.面接場所に配慮しているか ○△×
5.面接者の適性はどうか ○△×
6.いい社風が出来上がっているか ○△×
1.募集要項の向上に努力しているか
募集要項とは、「職種」「時間」「休日」「給与」「福利厚生」「教育」などです。これらは仕事を除いて衛生要因と呼ばれ、採用後の動機付けには必ずしも強く作用するものではありませんが、採用時においては狭い広告枠の中、これだけが唯一の情報であり、これを如何に向上させるか、具体的には初任給のアップ、完全週休2日制の履行、資格取得の援助などです。なかなか現行の労働条件自体を変更することは、困難だと思いますが、応募者をわが社を買ってくれるお客さんと考えれば、いくらか改善する余地はないでしょうか。
2.会社の魅力を精一杯提示しているか
求人広告を出すとき、募集要項以外の目に見えない部分で、精一杯魅力を伝えているでしょうか。例えば、人事制度が確立していて、将来への期待像が提示できるならそれを書くとか、有給休暇を取りやすい会社ならそれをアピールするのもいいでしょうし、残業代をきちっと払っている会社ならそれを強調するのも一つです。とにかく会社内では当たり前のことでも、それができていないところが多い世情では、充分にアピールポイントになるのです。ありきたりの募集要項を並べるのだけは辞めましょう。何の特徴もない商品をなんとなく展示しているのと同じですから。
3.HPに採用コーナーを設けているか
狭い求人広告枠内で、上記のことを訴えるのは物理的に限界があります。経営理念から商品から様々なことを訴えたいなら、やはりホームページに採用コーナーを設置することは不可欠でしょう。お客様に対して自社をご理解いただくために、欠かせないツールとなっているHPですが、これを採用で戦略的に使っている中小企業はまだまだ少ないようです。
4.面接場所に配慮しているか
応募者を受け入れる面接場所はきちっと確保できているでしょうか。製造業の工場ラインなら整備をしているのに、、直接商売にならない間接部門のためか、面接場所はおざなりになっていることはないでしょうか。初めてその会社を訪れた応募者が失望したりがっかりしたりする事務所になっていないでしょうか。門扉まできて中に入らず、引き返している応募者はいないでしょうか。それらはあたかもせっかくお店に入ってくれたのに不衛生なため再訪を見限ったお客さんや、外観が悪いために中にさえ入ってくれないお店のようになっていないでしょうか?
5.面接者の適性はどうか
面接官は的を得た対応を、きちっとしているでしょうか。ある程度決定権のある方でしょうか。応募者にとって何を聞いているのか分からない、どういう会社なのか分からないということにはなっていないでしょうか。不安を与える対応にはなっていないでしょうか?応募者からの質問に対してその場で適切に答えが出せているでしょうか。こんな店員が出てくれば、そこで買い物をしようとは思いません。
6.いい社風が出来上がっているか
ドアをノックして入ったとき、誰もそちらに顔を向けないというここにはなっていないでしょうか。入ってきた応募者をほったらかしにせず、積極的にこちらから声をかけているでしょうか。応募者とはいえ、一人の来客者として「いらしゃいませ」「ありがとうございました」と明るく声をかけ、もてなしているでしょうか。
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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