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普通の人を採用する面接の方法   (H19.7月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

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平成19年1月~12月

普通の人を採用する面接の方法   (H19.7月号)

普通の人を採用する面接の方法   (H19.7月号)

多くの中小企業が採用面接で苦労しています。応募自体が少ないこともありますが、普通の人すら採用するのが難しいようです。上位20%のスーパー社員を採用するのは無理としても、せめて下位20%のダメ社員を採用するミステイクを避けたいものです。つまり、真ん中の60%の普通の人を安定的に採用すれば、あとはその人たちを活かすも殺すも中小企業の場合は経営者次第といったところでしょうか。
 ここで普通の人の定義をしておきますと、「一般的社会人としての常識を持った人」ぐらいの意味です。所詮、面接ではその人のスキル(仕事に直接必要な技術や知識)は分かりません。しかし多くの企業の実態から推測すると、会社は特別にスキルの高い人を求めているというよりも、所謂常識のある普通の人を求めていることが大半です。つまり、普通の人であればきちんと仕事のスキルは教えて行く気はあるのですが、それ以前に、常識や生活態度から教えるとなると話は別です。ところがこういう人物が簡単に入ってくるから困るのです。
 では、どうすれば1回の面接で普通の人を見分けられるかです。結論から申し上げて、魔法の杖はありませんが、以下のことに留意するだけでも、かなりの確率で普通でない人の採用を阻止することが可能です。

1.適切な時間に来たか

 面接時間に遅れず来るのは当たり前ですが、早く来過ぎるのも考え物です。例えば10時に面接の約束をして、9時50分に来たら、皆さんはどう判断しますか?私ならマイナスポイントになります。つまり約束時間に余裕を持って着いても、約束時間が来るまで表で待っていて、約束時間ジャストに訪問してくるのが、正解でしょう。何故なら、早く来るということは、相手のことを考えていないからです。相手を慮る慎重な人間なら、このような想像力が働くでしょう。「会社の人は10時に来ると思って、まだ準備しているかもしれない」、「10時まで他の予定が入っているかもしれない」などと。

2.靴は反対向きに揃えたか

 その人が家庭で如何に常識的な教育を受けて、社会人になったかを見るには、靴の脱ぎ方を見るのが最も手っ取り早い方法です。何故なら就職するまで20年もの長い間、必ずやお母さんに「他人さんのおウチに上がったときは、反対方向に向けてきちんとそろえなさい」なんて、注意されるチャンスが幾度もあったはずだからです。きちんとした親ならそう教えます。しかし高学歴の営業マンの方ですら、まともに靴を脱いでお客さんの所に上がれない人が意外に多いことに驚かされます。一事が万事、ろくな家庭教育(しつけ)を受けて来なかったと推測するのです。土足のところでは難しいですが、意図的に面接場は上履きにして様子を見るのは非常に効果的です。

3.勧められてから座ったか

 事務員さんが面接者をテーブルに案内してから、「どうぞこちらでお待ちください」とだけ言わせます。絶対に「こちらで掛けてお待ちください」とやってはいけません。そして面接者がその後しばらくしてから入るのですが、そのとき応募者はどうしているかをチェックします。面接官が来るまで、立って待っていればベスト。上座に座っていれば、無条件でアウト。座っているにしても、入り口から近い席にかしこまって座っているなら、セーフです。

4.お茶は勧められてから飲んだか

 面接が始まってしばらくして、事務員にお茶を持って来させます。そのお茶を黙って置かせます。そして面接官は、相手がそのお茶をいつ、どのように飲むかを観察するのです。勧められるまで手をつけず、こちらが勧めてから両手で飲めば、ベスト。勝手に片手で飲めばアウト。こんなところにも、しつけの程度が分かります。

5.履歴書はきちんと書いているか

 私の事務所は社労士事務所ですから、社会保険の手続き業務をしております。当然人の入社にかかる事務も代行させてもらうのですが、その時に資料として頂くのが採用者の履歴書です。これを元に色々な手続きを進めてゆくのですが、この履歴書に疑問を感じることがよくあるのです。それはどういうことかというと、余りにも記載方法がずさんであったり、稚拙である履歴書であるにも拘わらず、採用してしまっている事実です。選べるほど来なかったなど色々な事情があったのでしょうが、履歴書をもう少し重視してみてはいかがでしょうか。
 まず写真がきちんと貼ってあるか。よく当事務所に送られてくる履歴書には写真が貼ってないものがあります。別に指示されなくても、気が利く人間なら貼るべき所にはちゃんと貼ってくるのが常識ではないでしょうか。2番目には、書くべきところがきちんと埋まっているか。例えば、郵便番号が抜けている、フリガナ欄にフリガナがふってないなど。どうして書くスペースがあるのに勝手に省略してくるのでしょうか。確実に仕事がこなせる人間だとは思えません。きっと、仕事でも自己判断で勝手に手を抜く人間だと推測します。3番目には、書き直している事例です。よく修正液などで訂正して、その上から記入しているものですが、審査してもらいに来ている人間の態度として軽すぎませんか。一度しかないチャンスです。最後の行で間違えたとしても、最初から書き直すくらいの慎重さ、丁寧さが欲しいものです。

 このように表面に出ている行為なら、誰にでも観察できます。これがベストの物差しではありませんし、その企業独自の視点を持てばいいのですが、ただ漫然と面接しているならこういったことにも留意してみてください。そしてこれらにパスした人だけを、採用するかしないかの土俵に上げて判断するのです。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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