平成19年1月~12月
目安箱制度を作ろう (H19.8月号)
●目安箱制度を作ろう (H19.8月号)
会社は組織で運営されています。個人でやる商売と決定的に違うのが、この組織で運営されるということです。ではこの組織でやるメリットとは一体何でしょうか?これは相乗効果に他なりません。個人ではいくら頑張っても、足し算でしか増えませんが、組織力は掛け算で増えるということです。これが相乗効果です。
しかし中小企業の場合、この相乗効果が発揮されていないことが多いのではないのでしょうか。せっかく人を使っているのに、もったいないと思うのです。経営改善に一番頭を使っているのは間違いなく経営者ですが、経営者の気がつかないヒントが現場の従業員の中に眠っているかもしれません。
そこでご提案したのが、目安箱です。江戸時代に8代将軍吉宗が庶民の意見を聞くために設けたあの目安箱です。人事制度では提案制度という形で、定着しているところもあります。提案制度で言う提案とは、本来改善提案のことを言います。改善提案とは、問題点を認識し、対策を考え、改善し、その効果とともに提出できる提案のことです。“~してほしい”といった要望、あるいは漠然とした意見にとどまるもの、そして不平、不満、批判の類は提案としては原則として受け付けられません。提案活動も立派な改善活動であるという認識に立ち、より前向きで建設的な提案が数多く出されることが望まれるのです。
提案制度は、頭の中で眠っているアイデアを呼び起こし、せっかくの創意や工夫が、埋もれてしまわないように発表の手段と機会を提供するものです。言い換えれば全従業員が経営に参画し、期待される役割を今まで以上に果たすための制度でもあるのです。小さな水の流れが合流して大きな川になるように衆知を集め、従業員の創意工夫が業績の向上に結びつき、一人一人の幸福につながることを確信し、活発な提案活動をされることを期待します。これが相乗効果です。
難しく考えていただく必要は全然ありません。要するに従業員が会社のため、皆のために良いと思ったこと、考えたことを自由に意見してもらいましょう、ということなのです。それを便宜上形式化し、きっかけを与えたものに過ぎません。 自由にものが言える、風通しのいい、開かれた職場環境にすることが実は一番重要なので、この制度はそのための方便かもしれません。
最初は多少強制的に進めるのもやむをえないでしょう。はじめから自主性を期待するのは少々無理があるからです。 繰り返し繰り返し先導することによって、この制度がごく当たり前の状態になれば自ずと自主性が芽生えているでしょう。そのときには個人体質を脱却した、相乗効果のある組織風土になっていることを確信します。
ちなみに制度の規程例をHPにアップしておりますので、ご参考にしてください。
http://www.nishimura-roumu.com/shorui/teiannseido.doc
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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