メニュー

4月より一般企業でも強化される職場の禁煙対策~健康増進法改正~(2020年3月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

インフォメーション(過去のメルマガ)

2020年1月~12月

4月より一般企業でも強化される職場の禁煙対策~健康増進法改正~(2020年3月号)

●4月より一般企業でも強化される職場の禁煙対策~健康増進法改正~(2020年3月号)

4月より改正健康増進法が施行され、一般の企業(事務所、店舗、工場等)でも原則、屋内での喫煙は禁止されます。

今回の改正の趣旨は、望まない受動喫煙の防止を図る観点から、多数の者が利用する施設区分に応じて喫煙を禁止すると共に、違反した場合には自治体から勧告が行われ、改善に従わない場合は罰則が科されるというものです。


すでに行政機関や学校、病院では第1種施設として2019年7月から規制が強化されていますが、この度4月からは一般の事務所や飲食店等の店舗、工場などの第2種施設でも規制が強化されることとなります。そこで今回は第2種施設にあたる多くの企業が取り組むべき事項について概略を解説したいと思います。

まず、屋内での喫煙は原則禁止となります。但し以下の喫煙専用室を設置した場合はこの限りでありません。

(1)喫煙専用室

喫煙専用室外へ煙の流出防止措置を技術的に施した、「喫煙するためだけの部屋」を設けた場合
この場合は喫煙専用のため、その中で飲食を行うことはできません。また技術的措置に関しては、非常に細かい規制がありますが、主に以下の措置が必要です。

ア.喫煙室入口において室外から室内に流入する空気の気流が0.2m/秒以上
イ.壁、天井等により区画されている
ウ.たばこの煙が屋外に排気されている(困難な場合は脱喫煙機能付きブースの設置でも可)


(2)指定たばこ専用喫煙室

「加熱式たばこ」の煙の流出防止措置を技術的に施した、「加熱式たばこを喫煙するためだけの部屋」を設けた場合
この場合は飲食を行うことが可能です。

このような例外措置を取った場合でも、20歳未満の者は入室することができす、また喫煙専用室であること標識を掲示する必要があります(この標識は自治体のHPからダウンロードすることが可能です)。


ただ既存の小規模な飲食店(資本金5,000万円以下、床面積100㎡以下など)は店舗全体を喫煙可能にするか、または一部喫煙可能室にする経過措置がありますが、20歳未満の入室禁止や喫煙可能標識の設置は同じで、保健所への届出が必要となります。


なお、今回の規制は多くの人が出入りする場所における規制であるため、以下の場合は規制の対象となりません。

◎プライベートな居住場所
◎職員寮の個室
◎老人ホームなど入所施設の個室(相部屋等共用は規制対象、病室や介護老人保健施設の個室も規制対象)
◎宿泊施設の客室


Q&A(抄)

Q 葉たばこを原料としない いわゆる 電子たばこは、製造たばこにも製造たばこ代用品にも該当せず、 改正法の規制の対象外となるのか?
A いわゆる電子たばこは、改正法の規制の対象外です。。


Q 複合ビルB内の飲食店Aがテナントとして入居している場合で、飲食店Aに改修権原がない場合、管理権原者には誰が該当するのか?
A Aに加えてBも管理権原者となります。基準に適合させるための改修を行うかについては、AB間で話し合っていただくこととなります。

Q 飲食店のテラス席は屋外でよいか?
A 外気の流入が妨げられる場所として、屋根があり、かつ側壁が概ね半分以上覆われている場合には「屋内」となり、そうでない場合には「屋外」となります。ただし、テラス席については、テラス席において喫煙をした際のたばこの煙が店内に流れ込むことがないよう、側壁が概ね半分以上覆われていない場合であっても、店内との境界が壁やガラス扉等で仕切られていない場合には、屋根に覆われている場所は「屋内」として取り扱います。

Q 旅館やホテルの宴会場、飲食店の個室であっても紙巻たばこの喫煙はできず、喫煙をする際は喫煙専用室を設置する必要があるのか?
A そのとおりです。なお、このような場所が加熱式たばこ専用の喫煙室としての基準を満たすものである場合においては、当該場所で飲食等も可能となります。

Q 家族経営の店舗で、1階部分全体が喫煙可能室であり、ここを通過しなければ2階の住居に到達できない場合にも、20歳未満の住人が通過したことをもって管理権原者に罰則が課されるのか?
A 当該施設の喫煙室以外の部分の利用のために、喫煙ができる場所を一時的に通過せざるを得ないと認められる場合は、指導等の対象になりません。

Q 既存特定飲食提供施設に該当していた施設について、施行後に資本金が5000万円を超えた場合や客席面積が100㎡を超えた場合などは、引き続き経過措置の対象となるのか?
A 「資本金5000万円以下」、「客席面積100㎡以下」といった要件は、改正法の施行後も満たしている必要があります。そのため、これらの要件を満たさなくなった場合には、経過措置対象の施設ではなくなります。

Q 既存特定飲食提供施設において、当該施設の従業員の休憩室、事務スペース等のバックヤードや厨房等も喫煙可能室として喫煙可能とできるのか?
A 既存特定飲食提供施設の屋内の場所の全部を喫煙可能な場所とする場合は、客席部分以外の場所を含めて、全ての場所を喫煙可能とすることができます。

Q 標識はどのように入手するのか?
A 厚生労働省のHPからのダウンロードできます。

Q 特定施設等の場所において運行している一般自動車では喫煙をしてもよいのか。駐車している一般自動車についてはどうか?
A 特定施設等の場所において運行している一般自動車については、一時的に通過するものであることから、禁煙規制の対象とはなりません。駐車している一般自動車については、一時的な通過ではないため、特定施設等と同様の規制が適用されます。

Q 保健所からの指導等はどのように行われるのか。例えば、たばこの煙の流出を防止するための技術的基準を満たしていなかった場合、直ちに過料等の行政処分の対象となるのか?
A 施設等の管理権原者等には、喫煙禁止場所における喫煙器具・設備等の設置の禁止、たばこの煙の流出を防止するための技術的基準の遵守等が義務づけられているところ、相談や情報提供があった場合や他法令・他制度に係る業務において事業者との接点がある場合に、保健所において義務違反の有無を確認することとなります。管理権原者等が法の義務を履行しない場合、まずは適切に助言、指導等が行われ、それに応じて法違反状態を是正していくことが必要です。これに応じず法違反状態が継続される等の場合には、義務違反の内容に応じて、公表、命令、過料(50万円以下)が適用されることがあります。


参考
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189195.html   (厚生労働省特設サイト)

http://www.pref.osaka.lg.jp/kenkozukuri/judoukitsuen/  (大阪府特設サイト)

お問い合わせ