メニュー

職場のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(2020.6月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

インフォメーション(過去のメルマガ)

2020年1月~12月

職場のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(2020.6月号)

職場のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(2020.6月号) 

緊急事態宣言も解除され、少しづつ収束の方向へ向かっているようです。しかしまだ有効なワクチンや治療薬が開発承認されていない現下において、確かに感染するリスクは幾分低減したかもしれませんが、感染したときのリスクは何も変わっておらず、またウイルス自体を撲滅したわけではないことから、再び感染拡大のリスクもあります。

 

今後は南半球の国々に感染爆発がおき、秋になると再び北半球に戻ってきて第二波となる可能性を否定できません。まだまだ気を緩めることはできないのです。


そこで気の緩みを戒める意味でも、しばらく新型コロナウイルスと労務管理を中心に情報発信をして行く所存です。一般社団法人日本渡航医学会、及び公益社団法人日本産業衛生学会が「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド 第1版」を5月11日に発表しました。今回はその中からQ&Aを抜粋してお届けいたします。
https://www.sanei.or.jp/images/contents/416/COVID-19guide0511koukai.pdf

 

 

Q1 保健所の調査で従業員が濃厚接触者と判断されました。従業員は自宅待機にさせるべきでしょうか?

A1 濃厚接触者と判断された場合は、保健所から14 日間の健康観察が求められます。健康観察中には、手指衛生やマスク着用の徹底、および健康状態に注意を払い、不要不急の外出を控え、やむをえず移動する際にも、公共交通機関の利用は避けなければなりません。基本的には自宅待機とすることが望ましいですが、業務の性質上在宅勤務等が困難で出社が必要な場合は、上記の対応を徹底し、かつ他の従業員との接触を減らすようにしたうえで、出社の可否を検討してください。


Q2  従業員の家族が濃厚接触者と判断されました。従業員は無症状ですが出勤させてよいでしょうか?

A2  家族(同居者)が濃厚接触者と判断されただけでは、従業員本人を自宅待機にする必要はありません。ただし従業員には、マスクの着用や手指衛生の徹底などの家庭内での感染管理が求められます。従業員
は 自分の体調に注意を払い、体調不良を自覚する場合は出社を控えてください。


Q3  発熱はありませんが体調不良を認める従業員にはどのように対応すればよいでしょうか?

A3  体調不良を感じる場合は出社をせずに、自宅待機をするよう指示してください。症状がない感染者の鼻腔や咽頭にもウイルスが存在することもあるので対面での会話でも他人に感染させる恐れがあります。
新型コロナウイルス以外の感染性疾患の可能性もありますが、新型コロナウイルス感染症を否定することはできませんので、体調不良が改善するまでは自宅待機をさせてください。なお、体調不良者の復帰の目安は以下脳通りです。


次の(1) および(2) の両方の条件を満たすこと(これは欧州の基準を参考にしたものです)
(1) 発症後に少なくても8 日が経過している
(2) 薬剤*を服用していない状態で、解熱後および症状**消失後に少なくても3日が経過している
   *解熱剤を含む症状を緩和させる薬剤
   **咳・咽頭痛・息切れ・全身倦怠感・下痢など


Q4  従業員の家族が新型コロナウイルスに感染して自宅療養を行なっています。従業員は濃厚接触者に当たるので自宅待機をしていますが、どの程度の期間自宅待機が必要でしょうか?

A4  家族が感染して自宅療養を行なっている場合には、その同居者は基本的には濃厚接触者に当たります。同居者の健康観察については、所管する保健所と相談することになっているため保健所により見解が異なる可能性があります。患者の自宅療養解除日から、さらに14 日間の健康観察期間が求められることがあります。

 


Q5  発熱しましたが1 日で解熱しました。この様な場合でも「症状が出てから8 日間かつ解熱してから3 日を経過するまで」自宅待機が必要でしょうか?

A5  新型コロナウイルスに罹患した感染者の中には、軽症者からほとんど無症状(発熱も認めない)の者がいることがわかってきました。無症状感染者(感染を受けたにもかかわらず無症状の感染者)の割合が多いことも分かって来ました。1 日で解熱したとしても、新型コロナウイルス感染症を完全に否定することは困難です。そのためガイドの通りの期間の自宅待機を行うことが望ましいです。ただし産業医等の助言を受けたうえで、事業者が独自の基準を決めることを否定するものではありません。

 


Q6  感染した従業員を復職させる基準はどのように設定すればよいでしょうか?

A6  感染した場合は、(1)24時間発熱が無い、(2)呼吸器症状が改善傾向である、(3)PCR検査が2回連続で陰性である、という基準を満たした場合に退院が可能になります。なお退院基準は4 月2 日に見直しがされました。また宿泊療養・自宅療養を行った場合には、原則として退院基準と同様の基準により 宿泊療養・自宅療養が解除されますが、PCR 検査を行わない場合には、宿泊療養又は自宅療養を開始した
日から14日間経過したときに宿泊療養・自宅療養を解除することができるようになりました。入院していた場合は主治医からアドバイスによって、体調を確認しつつ復帰時期を決めてください。

 

 

Q7  環境消毒は具体的にどの様に行えばよいでしょうか?

A7  新型コロナウイルス感染に対する消毒には、アルコール(70~80%)や次亜塩素酸ナトリウム(0.05%)が有効です。消毒の際は適切なマスク、手袋、ガウン等を用いてください。中性洗剤等で汚れを落とした後、消毒液を含ませたペーパータオル等で、手指が触れる場所(ドアノブ、手すり、スイッチ、蛇口など)を一方向に拭き、その後(アルコールの場合は)から拭きして下さい。なお次亜塩素酸ナトリウムは金属腐食性があるので、金属に使用した場合にはから拭きでなく、念入りに水拭きをしてください。トイレの消毒には次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)を用いてください。

 

 

Q8  感染者が職場内で発生した場合は消毒を行った方がよいでしょうか?

A8  環境中における新型コロナウイルスの生存期間は、インフルエンザウイルスと比較して長く生存する可能性があります。感染者が発生した場合には、感染者の執務エリアの換気を行い、感染者が触れたと
思われる部位をアルコール(70〜80%)または次亜塩素酸ナトリウム(0.05%)を使用して消毒してください。また感染者が使用したトイレ、体液や吐しゃ物等が付着した箇所については、次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)で消毒をしてください。この消毒の際は適切な個人保護具(マスク、手袋、ガウン等)を使用してください。

 

 

Q9  事業所で健康診断を予定していますが、中止・延期にすべきでしょうか?

A9  労働安全衛生規則第43 条に基づく雇入れ時の健康診断、第44 条に基づく定期健康診断、第45 条に基づく特定業務従事者の健康診断など、労働安全衛生法第66 条第1項に基づく健康診断については延期が可能です。また労働安全衛生法第66 条第2項及び第3項並びにじん肺法の規定に基づく特殊健康診断については条件つきでの延期が可能になりました。なお、この取扱いはいずれも2020 年6月末までの限られた対応となります。また、健診を実施する場合にあたっては、(1)発熱等の症状がある者は健診を受けさせない、(2)健診会場内では手指衛生や咳エチケットを徹底する、(3)実施する人数を制限する、(4)室内の換気を十分に行うなど、健診会場が密集した空間とならないようにする必要があります。

 

 

Q10  国内出張は中止した方がよいでしょうか?

A10  緊急事態宣言以降は、外出の自粛が求められています。人との接触を削減するためにも、移動を伴う出張は控えることが望まれます。感染リスクを避けるためテレビ会議等の活用を優先してください。

 

 

Q11  航空機や新幹線で移動する際の注意事項は何でしょうか?

A11  航空機では概ね2~3 分で機内の空気が全て入れ替わる仕組みになっています。また航空機にはHEPAフィルターが装備されています。新幹線では約6~8分に1回は車内の空気が入れ替わるように換気されているため、航空機内や新幹線車内は一般環境に比べて感染するリスクは低いと考えられています。しかし、近距離からの飛沫感染や接触感染は避けられないため、乗客全員が手指衛生やマスクの着用などの基本的予防法を励行し、咳などの症状が出現した場合には利用を控えてください。また空港や駅の待合室では、混み合った場所を避け、マスクを着用したうえで大声での会話は控える、隣の乗客とは少なくとも2m の距離を取るようにしてください。

 

 

Q12 事業所内食堂の利用方法をどのように変更するべきでしょうか?

A12 従業員が集中して集まらないように、フロアごとに利用時間をずらすなど、一回あたりの利用人数を制限することを検討してください。着席する際は隣の席を空ける、食事の際には会話をしない、お互い対面を避けて着席するなどの工夫をしてださい。現時点では食品を介して新型コロナウイルス感染症に感染したとされる事例は報告されていません。食品や食品のパッケージを介した感染するというエビデンスはありません。ビュッフェスタイルでの提供、卓上調味料などを共用することで、感染がひろがる可能性があります。衛生管理の徹底や提供方法の変更を検討してください。

 

 

Q13 外部クライアントとの会議(面談)は中止すべきでしょうか?

A13 外部クライアントとの会議では、受付業務が発生するため感染予防対策への負担が増加します。テレビ会議の活用を優先してください。やむを得ず対面での会議を行う場合には、手指衛生を徹底する、全員がマスクを着用し参加者間の距離を十分にとる、参加者の人数を制限する、会議室の換気を十分に行うなどの対策を行ってください。

 

 

Q14 事業所内メンバーで会議は行う場合の注意すべき点はありますか?

A14 会議の緊急性や必要性を考慮して会議の実施を決めてください。テレビ会議の活用を優先するなど、直接接触する機会を減らした会議を行うことが望まれます。やむを得ず対面での会議を行う場合には、
手指衛生を徹底する、全員がマスクを着用し従業員間の距離を十分にとる、参加者の人数を制限する、会議室の換気を十分に行うなどの対策を行ってください。


(文責 特定社会保険労務士 西村 聡)

お問い合わせ