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職場のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド  その2(2020.7月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

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2020年1月~12月

職場のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド  その2(2020.7月号)

職場のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド  その2(2020.7月号) 

 

前月に引き続き、一般社団法人日本渡航医学会、及び公益社団法人日本産業衛生学会による「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド 第1版」(5月11日時点)から、コロナと会社経営について参考になる記事をご紹介いたします。


1.新型コロナに関する基礎知識

(1) 潜伏期

潜伏期間は最大で 14 日、その範囲は 1〜14 日(中央値 5〜6 日)と考えられている。

(2) 感染経路

新型コロナウイルスの感染経路はインフルエンザと同様に飛沫感染と接触感染と考えられているので、咳エチケットや手洗いなどの基本的な感染症対策を行う。

(3) 治療方法

現時点では特異的な治療薬やワクチンは開発されていないが、いくつかの抗ウイルス薬などが治療薬の候補として試みられている。抗菌薬(抗生物質)は予防または治療の手段として使用できない。

(4) 新型コロナウイルスの生命力

新型コロナウイルスは、ステンレスやプラスティックの表面では数日間、空気中では 3 時間、厚紙の表面では 24 時間ほど生存するという報告があります。SARS コロナウイルスについては、プラスティックや金属の表面では最大で 9 日間生存することも報告されています。新型コロナウイルスについてはまだ十分わかっていないことが多いものの、SARS コロナウイルスに近い期間、体外で生存する可能性があります。

2.感染予防対策の基本

(1) 手指衛生および咳エチケット

ア 主な感染経路は飛沫感染および接触感染なので、手指衛生、咳エチケットなどの基本的な感染症対策を行う。顔や目をむやみに手で触らないことも重要である。
イ 手洗いの基本は水道水と石けんを利用し、手の表面に付着したウイルスを洗い流すことである。
ウ 水道水と石けんが利用できない環境では、アルコール消毒液(70%~80%)を使用する。
エ 喫煙者が感染した場合は重症化リスクが高い傾向があるので禁煙を強く推奨する。


(2)発熱や風邪症状を認める場合の基本的な考え方

ア 常に新型コロナウイルス感染症の可能性を念頭にした対応が求められる。
イ 新型コロナウイルス感染症との診断に至らなかった場合(PCR 検査陰性、医療機関を受診しなかった場合を含む)でも、新型コロナウイルス感染症を完全に否定することはできない。
ウ 最近の感染拡大の状況を鑑みると、「診断に至っていない発熱や風邪症状」については、新型コロナウイルス感染症とみなした対応を行うことが望ましい。
エ 医療機関に「陰性証明書や治癒証明書」の発行を求めてはならない。


(3)従業員の健康状態モニタリング

ア 朝夕、体温を測定するなど健康チェックを行わせ、発熱や風邪症状がある場合は出社をさせない。
イ 発熱がなくても体調不良を自覚する場合は、出社をさせない。
ウ 社内で勤務中に発熱した場合は、マスクを着用させたうえで帰宅させる。


(4) ソーシャルディスタンシング(人と人との物理的距離を保つこと)


ア 人混みを避け他人との距離を約1m~ 2m 程度にする。

イ 人が集まる休憩室や食堂等の利用を制限する。

ウ 対面での業務(会議含む)を制限し、テレビ会議等を利用する。

エ 社内研修、セミナー等はテレビ会議等を利用、もしくは延期、中止する。

オ 懇親会等の開催は中止する。

カ 喫煙室は「3 密」の条件がそろい易いので、喫煙室の使用を中止すること。

キ フリーアドレス(個人専用のデスクはなく、自由に着席場所を選んで仕事をすること)を導入している事業所では、万一、感染者が発生した際には接触者の把握に困難を来す恐れがあるので禁止し、従業員の執務場所を限定することをが望ましい。

3.発熱や風邪症状を認める者の職場復帰の目安


次の(ア) および (イ) の両方の条件を満たすこと(ヨーロッパ CDC の隔離解除基準)

ア  発症後に少なくても 8 日が経過している(発症日を 0 日として 8 日間のこと)

イ  薬剤※を服用していない状態で、解熱後および症状※※消失後に少なくても3日が経過している(解熱日、症状消失日を 0 日として 3 日間のこと)

※解熱剤を含む症状を緩和させる薬剤    ※※咳・咽頭痛、息切れ、全身倦怠感、下痢など


4.感染した従業員の職場復帰の目安


次の (ア)および (イ)の両方の条件を満たすこと

ア  発症後に少なくても 14 日が経過している

イ  薬剤※を服用していない状態で、解熱後および症状※※消失後に少なくても3日が経過している

※解熱剤を含む症状を緩和させる薬剤   ※※咳、咽頭痛、息切れ、全身倦怠感、下痢など


ウ 入院していた者については、退院時に主治医からの指示を参考にすること。

エ 職場復帰に際して 1 週間程度の在宅勤務を行ってから出社することが望ましい。

オ 在宅勤務が困難な場合は、復帰後1週間は、毎日の健康観察、マスクの着用、他人との距離を 2m程度に保つなどの感染予防対策を行い、体調不要を認める際には出社はしないこと。


5.従業員が濃厚接触者と判断された場合


(1) 保健所が実施する積極的疫学調査により、従業員が濃厚接触者と判断された場合は、事業所の管轄の保健所の指示に従い感染防止の措置を講じること。

(2) 事業者は濃厚接触者に関する情報(氏名、生年月日、年齢、住所、電話番号等)を保健所に提供する。

(3) 濃厚接触者に対しては 14日間の健康観察が(感染者との最終接触日の翌日から14日間)指示される。上述の通り、感染者が自宅療養を行う場合には、家族(同居者)は基本的には濃厚接触者に当たるため、患者の自宅療養解除日から、さらに 14 日間の健康観察期間が求められることがある。

(4) 健康観察期間中は保健所と、濃厚接触者となった従業員の自宅住所を管轄する保健所が連携して健康の確認を行う。

(5) 事業者が独自の判断で濃厚接触者や濃厚接触者以外の者に自宅待機などを指示したり、健康観察期間を延長する場合には、感染症法、労働基準法、労働安全衛生法や就業規則等に基づいた対応を行うこと。


6.職域の消毒に関する基本的な考え方


(1) アルコール消毒液(70%~80%)もしくは次亜塩素酸ナトリウム(0.05%)を用いる。

(2) トイレの消毒については次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)を用いる。

(3) 消毒は拭き取り(清拭)を基本とし、消毒剤の空間への噴霧は必要ではない。

(4) 適切な個人用保護具(マスク、手袋、ガウン等)を用いること。

(5) 不特定多数が触れるドアノブ、手すり、エレベーターのボタンなどを定期的に消毒する。

(6) 不特定多数が利用するトイレ(床を含む)を定期的に消毒する。

(7)  消毒は最低でも 1 日1回行うこと(複数回の実施が望ましい)。


7.出張者および駐在員への対応


ア 渡航先で行動制限を受けたり、出国が困難となる事態を防ぐため、不急の渡航は自粛が望ましい。


イ 水際対策強化にかかる追加措置に基づき、全ての国・地域からの帰国者、入国者に対し検疫所長の指定する場所(自宅など)で、入国の次の日から起算して 14 日間待機が必要である。 空港等からの移動も含め公共交通機関の使用はできず、入国後に待機する滞在先と、空港から移動する手段について検疫所への登録が義務つけられる。これに加えて、入国した日の過去 14 日以内に「入管法に基づく入国制限対象地域」に滞在歴のある者は、全員に PCR 検査と保健所等による定期的な健康確認の対象となり、自宅等で不要 不急の外出を避け待機することが要請される。


「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド 第1版」
https://www.sanei.or.jp/images/contents/416/COVID-19guide0511koukai.pdf

 

(文責 特定社会保険労務士 西村 聡)

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