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社長のストレスを緩和する思考法 (2022.12月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

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2021年1月~12月

社長のストレスを緩和する思考法 (2022.12月号)

●社長のストレスを緩和する思考法 (2022.12月号)

   

 

早いもので2021年も終わろうとしています。昨年に引き続き、今年もコロナに明け暮れた年だったのではないでしょうか?しかし第5波は急速に収束し、現在は小康状態といなっており、この状況が継続してくれることを祈るのみですが、今までの感染周期を見ると年内に第6波が来ることはある程度覚悟しておいた方がよさそうです。

ただ早ければ年内か、遅くとも来年早々には経口薬が発売される予定であり、こうなると「ワクチン」と「治療薬」の二本柱が揃うことになり、よっぽどこれらが効かない変異株が出現しない限り、おおよそ季節性インフルエンザと同様の取り扱いになって行くことでしょう。


さて話は変わりますが、今年を振り返りってもやはり私のところに来るご相談事で一番多いのは、社長から見て困った社員に関することです。こと小規模企業においては、毎日顔を合わせることになるため、社長のストレスは相当なものと推察します。ストレスのない社会などあり得ないので、ある程度は許容して行かなれればならないのは分かっているけれど、やはり心穏やかには行きません。夜も休みの日も、頭から離れず、モヤモヤが続きます。


こういったストレスを感じる社員がいる場合に、よく私がアドバイスしていることがあります。それは、

1.20%の溝、2.それなりの役割、3.所詮人の子 4.退職勧奨、ということです。一体どういうことでしょうか?


1.経営者と従業員には20%の溝があることを認識する


従業員が中々思うように動いてくれない、もっとやって欲しいのにな何か物足りない、ということがあります。このストレスを埋めるベストアンサーは、従業員が社長の期待通りの成果を出してくれることです。言うまでもありません。しかし現実的にこれが叶わないからストレスとなっているのです。では考え方を少し変えて見ましょう。


社長から見て60%の出来でも従業員は80%できたと思っています。社長は100%を求め、従業員は60%で満足する。つまり最初からもともと乖離が大きいとの前提に立って、中を取って80%、つまり乖離が20%ならOKとする考え方です。常に20%は乖離があることを認め、20%以内なら許容するという考え方なのです。

これには賛否があると思います。会社の成長、従業員の成長にとって足かせになることもないとは言えません。しかし当該ストレス社員との向き合いにおいて、ストレスを緩和する方向性を重視するなら、こういった割り切りをするのも一つです。

2.それなりの役割


ストレスを感じる理由の一つに、従業員が変わってくれない、という類のものがあります。しかし人間はそもそも変化を嫌う生き物です。安定と安心を最重要視するものです。マズローの欲求5段階設においても「安全の欲求」は「自己実現の欲求」や「承認の欲求」よりも優先度の高い土台のようなものと言われています。

そもそも大きく変化する人は例外で、変化しないことが当たり前と考えるのです。

また人事制度を整備しているときによく申し上げるのが、「上に上がってくる人は一握りで構わない。むしろ全員が上がってきた方が困る」ということです。例えば、社長の片腕として部長になって欲しい人はほんの一部で良く、その他大勢の人は、単調で変化のない退屈なことでも飽きずに真面目にコツコツとこなしてもらう必要があります。グラウンドでプレーするスター選手は一部で良く、グランドキーパーも必要だし、切符のもぎりをする人も必要で、それぞれに役割があり、どこが欠けても機能しません。グラウンドでプレーする選手だけではゲームは成り立たないのです。

もともと変化を嫌うものであり、変化しないことで役割を果たせるとの考え方もあり得るのではないでしょうか?

3.所詮人の子

突き放したような言い方ですが、従業員は所詮人の子、血が繋がっていません。多くの社長は社長であると共に、我が子の親でもあるかと思いますが、

「自分の子ですら、制御することはほとんど不可能なのではないですか?」

一体、親の意のままに育つ子などいるのでしょうか?血を分けた我が子ですら思い通りにならないのですから、まして他所さんの子、そもそも制御しようとか、思い通りにしようなどと思う方が傲慢なのかも知れません。

そのように考えると、上手くいかなくて当たり前ということになります。

4.退職勧奨


以上のように考えたかを変えてみても、どうしてもこのストレスには耐えられない!ということであれば、最後は退職勧奨して辞めてもらうしかありません。社長が辞める選択肢はない以上、相手に辞めてもらうしかないのです。ただストレスを感じる程度の事由で解雇することは、法的にはまず不可能と考えるべきで、解雇を最終手段とはしません。

会社にとってリスクも大きいですし、後味も悪い。解雇された従業員も職歴に傷を付けるのは良いことではありません。やはり最終的にはお互いの意思により、合意解約を目指すべきであり、実はこの手のご相談が一番多いかもしれません。

この紙面では社長のストレス緩和が命題であり、退職勧奨自体を解説するのはここでは差し控えますが、どのように考え方を変えたとしてもストレス緩和にならないのであれば、退職勧奨を検討せざるを得ません。

退職勧奨についてはまた別の機会、解説したいと思います。


どうか2022年は従業員のストレスで悩まない年にしたいものです。


(文責 特定社会保険労務士 西村 聡)

  

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