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社員から感染、濃厚接触の報告が来た場合の初期対応(2022.2月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

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2022年1月~12月

社員から感染、濃厚接触の報告が来た場合の初期対応(2022.2月号)

●社員から感染、濃厚接触の報告が来た場合の初期対応(2022.2月号)

   ~オミクロン株 大流行 自己防衛が必要に~

やはり第6波がやってきました。オミクロン株が若年者を中心に猛威を振るっています。1月25日現在、重症化率はデルタ株など従来株に比べて一番低いとされていますが、感染力はすさまじく、私のクライアントさんにおいても社員やその家族から陽性反応が出たとか、濃厚接触の疑いがあるとしてご相談を頂く頻度が日増しに増えています。

一部には大して恐れる必要はないとの意見有り、私見を許されるなら私もそのように考えていますが、現在感染症法2類に分類された中での政府方針からすると、感染者や濃厚接触者が出ると人員不足になり、事業活動を停止または縮小しなければならない事態になりかねません。

この第6波のピークは2月第1週くらいではないかとも言われていますが、どこの会社でも事業活動を停止または縮小が起こる蓋然性が極めて高くなっています。そこで今回は2月号を繰り上げて、社員の急な申出に慌てなくても良いように、最低限のポイントを解説いたします。


その前に現行の陽性者及び濃厚接触者の取り扱いがどうなっているのかおさらいしておきましょう。


1.感染者(陽性者)

発症日から10日間経過し、かつ症状軽快後72時間経過した時点で、退院又は療養終了となります。また、症状のない方は、検体採取日から10日間経過した時点で、療養終了となります。
人工呼吸器等による治療を行った場合においては、発症日から15日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した時点で、退院又は療養終了となります。これらの基準で療養終了した場合には、PCR検査による陰性確認は必要ありません。なお、療養期間については、症状に応じて入院継続又は療養期間延長の場合があります。
保健所が就業制限を行う療養期間は、保健所が発生届を受理した日から療養終了の日までです。


例  1月20日に発症の場合
       1月21日から1月30日までが療養期間+3日間(72時間)の経過観察


2.濃厚接触者


陽性となった方の発症日よりも2日前以降(無症状の方は検体採取日より2日前以降)から療養終了日(発症日の翌日より10日間)までは、感染可能期間といい、周囲の方に感染させた可能性がある期間となります。
つまり陽性が判明した日(発症した日)の前日より2日前から、発症日の翌日より10日間において、以下(1)から(4)に該当する者が濃厚接触者となります。

(1)患者と同居、あるいは長時間の接触(車内、航空機など)があった人
(2)適切な感染防護なしに患者を診察、看護もしくは介護した人
(3)患者の気道分泌液もしくは体液等の汚染物質に直接触れた可能性が高い人
(4)その他、手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策(マスクなど)なしで15分以上接触があった人
   ※マスクについては単に付けていただけでなく、鼻出しや顎マスクも確認。


   

濃厚接触者の方は、患者と最後に接触があった日(最終接触日)の翌日から10日間(※)は、発症する可能性があり経過観察が必要です。
※デルタ株患者の濃厚接触者の場合は14日間になります。

例 1月20日に発症した人と21日に接触した場合
     1月18日から1月31日までが濃厚接触者としての隔離(自宅待機)期間

現況では保健所も相当逼迫していることが予想され、タイムリーに連絡があるわけではなく、それは期待できません。こちらから電話しても中々繋がらず、会社である程度判断した上で、即座に対応を指示する必要があるのです。従って濃厚接触者の特定も会社で行う必要が出てきます。

この濃厚接触の扱いが陽性者よりも実務では難しいところです。例えば従業員の子どもが、陽性反応が出た友達からの濃厚接触の疑いがあるとして社員から連絡が入った場合、当該社員自身はその時点では濃厚接触者にもなりません。しかし後刻、子どもが感染して発症した場合、同居家族である社員は濃厚接触者になりますが、それが判明するには相当時間がかかり、その間に普通に出勤しているため、感染を広げる可能性もあり、また感染していることが判明すると濃厚接触者を拡散し、自宅待機者を増やすリスクもあり、早い目の対応が求められることがあります。


また家族に陽性者が出て軽症の為自宅療養となったとき、同居家族は濃厚接触者となりますが、この場合は思いのほか長期間の休業を指示せざるを得なくなることがあります。先述の通り、陽性者は最低10日間の療養が必要ですが、濃厚接触者も10日間の自宅待機が必要です。そしてこの濃厚接触の10日の起算日は最後に陽性者に接触した日となるため、最低20日間は自宅待機を迫られることがあり得るのです。

こういった状況から保健所の指示を待つことなく、会社の対応としては以下をご参考にしてください。

4.従業員本人が陽性者であるとの連絡があったとき

基本的には保健所の指示に従ってもらうが、連絡がないときは必ず10日を目途に休ませる。感染症法2類は就業制限が法律上要請されており、賃金の支払い義務はない。働けない日であるため、本来有給休暇は取得できないと考えるが、会社の裁量で本人の希望がある場合は認めても良いのではないか。但し健康保険加入者は傷病手当金を請求すれば、おおよそ給与の3分の2が支給される。

会社で抗原検査キットを用意しておけば、10日経過後に検査し、陰性であれば復帰させる。
また社内及び関係先で、当該社員と濃厚接触した者がいないかを直ちに調査。社内で該当者がいる場合は、次の5へ。
社外に該当者がいる場合は直ちに連絡を入れ注意喚起を促す。


5.従業員が濃厚接触者となったとき、疑いのあるとき


基本的には保健所の指示に従ってもらうが、連絡がないときは10日を目途に休ませる。賃金の支払いは法的に必要ないと考えているが、反対意見もあり、また安心して自宅待機してもらうためにも最低60%は支払うのが望ましい。勿論100%でも構わない。本人が希望すれば有給休暇を消化してもらうことも可能。
会社で抗原検査キットを用意しておけば、10日経過後に検査し、陰性であれば復帰させる。


6.従業員から発熱等、体調不良の連絡があったとき

風邪の諸症状が見られれば、速やかに事前に電話連絡の上、医療機関に相談の上、受診。なるべく公共交通機関を使用させない。PCR検査が可能であれば検査をしてもらう。但し結果通知まで3日ほどかかることもあるので、その間は自宅待機。陰性であれば出勤可能。陽性であれば医療機関を通じて保健所の指示に従う。

また迅速にPCR検査が受けられない場合で血液検査ができる場合、その結果によりウイルス感染かどうかを把握できる場合もある。ウイルス性ということが完全に排除できるのであれば、体調軽快後に出勤させる。
会社で抗原検査キットを用意しておけば、仮にPCR検査が受けられない、検査が遅れる場合に自主検査し、陰性であれば出勤させることもあり得る。


7.家族が体調不良との連絡があったとき

家族に6に準じた対応をしてもらう。風邪の諸症状が見られれば、速やかに事前に電話連絡の上、医療機関に相談の上、受診。なるべく公共交通機関を使用させない。PCR検査が可能であれば検査をしてもらう。但し結果通知まで3日ほどかかることもあるので、その間は念のため従業員も自宅待機。家族が陰性であれば出勤可能。陽性であれば5濃厚接触者となったときを参照。

また迅速にPCR検査が受けられない場合で血液検査ができる場合、その結果によりウイルス感染かどうかを把握できる場合もある。ウイルス性ということが完全に排除できるのであれば、従業員はは出勤可能。
会社で抗原検査キットを用意しておけば、仮にPCR検査が受けられない、検査が遅れる場合に自主検査してもらい、家族が陰性であれば出勤させることもあり得る。


8.職場で感染者が出た場合の消毒

感染した従業員が触れた可能性のある場所を消毒してください。なお、症状のない濃厚接触者の接触物等に対する消毒は不要です。

〇手で触れる共有部分の消毒
物に付着したウイルスはしばらく生存(プラスチック等の表面で72時間まで)しますので、ドアの取っ手やドアノブなど共有部分を清拭消毒します。
消毒薬はアルコール(70%)又は次亜塩素酸ナトリウム(0.05%)を使用します。食器、箸、スプーンなどは、通常の洗浄でかまいません。

〇トイレの消毒
感染した従業員が使用した使用後のトイレは、アルコール(70%)又は次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)による清拭をします。

 

(文責 特定社会保険労務士  西村 聡)

 

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