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多くの社長が不満を持っている 管理職とは一体何か?その2(2022.8月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

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2022年1月~12月

多くの社長が不満を持っている 管理職とは一体何か?その2(2022.8月号)

多くの社長が不満を持っている

●管理職とは一体何か?その2(2022.8月号)

前回7月号では、中小企業で管理職が育ちにくい構造的な問題があること、そして役職手当の意味について述べました。

今回は「そもそも管理職とはどんな人のことをいうのか」ということについて考えてみたいと思います。


1.管理職の3大ミッション


管理職のミッションにはいろいろなことが考えられますが、ごく簡単に絞ると私は以下のようになると考えています。
 
(1)経営者の右腕として、経営業務の一端を任されること

(2)部下を指導、育成するすること  

(3)自分自身がより高い業績、成果を上げること

それぞれについて解説します。


(1)経営者の右腕として、経営業務の一端を任されること


とにかく中小企業の社長は忙しい。オールラウンドプレーヤーと言えます。これをプロ野球で例えると、グランドでプレーすることもあれば、フロントスタッフになることもある。時にはグランド整備もするし、売り子もやらねばならない。プレーするにしてもピッチャーもキャッチャーも内野も外野も代打もやる。そんな感じです。


これを会社経営に置き換えても同じことが言えます。経営には色んな目くばせしなければならないベクトルがあり、例えば、

●経理財務、資金繰り
●人事、労務管理
●仕入れ、購買
●製造生産
●営業、マーケティング
●企画開発
●流通、物流
●顧客管理
●法務、特許
●設備投資・・・


一人の人間が見るには、範囲が広すぎます。社長一人でこれらに全部目くばせすることなど土台不可能です。


ですからここで右腕が登場する必要があるのです。管理職です。管理職がこれら多様な経営課題の一部を手伝ってくれるだけでもどんなに社長は楽になるでしょうか。そんなに嬉しいでしょうか?
これらのどこかのベクトルをサポートしてくれる、そんな存在が管理職なのです。

また右腕(言い換えると社長の一部)とは、中小企業の管理職だからこそのことです。例えば大企業ですと、こういった一つ一つの経営課題には担当役員がおり、管理職が右腕になる余地はありません。一般社員が1年間に社長に直接会う機会すら、ほんとんどないでしょう。

社長一人ではこんなにたくさんの課題にコミットするのは無理、だから右腕としてサポートしてくれる管理職が必要なのです。

(2)部下を指導、育成するすること


様々な経営課題をサポートすることの中でも、部下を指導し、育成することは最も重要なミッションであると言えます。特に管理職自身の後継者を育てることは極めて重要です。仮にいくら優秀な管理職として辣腕を振るったとしても、いずれ定年がきます。自分がいなくなる時が必ず来るのです。

しかし企業経営は永続性が求められます。長く続けることが良いかどうかの議論はさておき、職業(商品やサービス)の提供で社会に奉仕している企業であれば、継続して社会還元し続けることが命題となります。


ただ一般論でいうと、中小企業の管理職は得てして自分の仕事はできるが、それと同じことを部下に伝承することが苦手なようです。
自分でやった方が早い、やらせると不具合を出す、教えるのが面倒くさい、自分で見て盗め、、、、、そんな感じでしょうか?


子どもは勝手に育ちますか?

確かにほったらかしでも生物学的には成長するかもしれませんが、学校教育をきちんと受けないと社会生活はダメですよね。教育を施さないで独学で行けるのはごく限られた人だけ。普通は繰り返し教育しないと成長しないのは分かり切ったことなのに、こと職場の部下になるとこれができない。

また自分が分かっていることやできることと、それを人に教える技術は別物です。教えることで管理職自身もいろんなことで悩み、気づき、成長してゆくのです。


(3)自分自身がより高い業績、成果を上げること


中小企業の管理職はマネジメント業務だけに特化できるわけではありません。社長自身がそうなのですから管理職は尚更です。よく「一流選手必ずしも名監督にならず」ということが言われますが。私は「一流でなければ管理職にはあらず」と考えています。中小企業の管理職はほとんどがプレイングマネジャーです。


つまり自らもプレーヤーとして活躍しなければなりません。管理職自身も一流の技術や知識によって成果を出していることが必要です。理想を言えば、管理職の人間力によって部下を指導できるのがベストではありますが、あくまでも理想であって人間力を鍛えるのはそう簡単なことではありません。

これに関しては次回以降に譲りたいと思いますが、部下を圧倒するようなパフォーマンスを発揮していないと、中々部下が納得して信頼し、ついて来てくれないのです。


率先垂範、これが中小企業の管理職の要諦です。「やって見せ、言って聞かせてさせてみて、ほめてやらねば人は動かじ」。連合艦隊司令長官 山本五十六の有名な言葉ですが、まず「やってみせ」、つまり率先垂範です。

これらを総合して社長から見て「信頼できる奴」かどうかが問われることとなります。

以下次号


(特定社会保険労務士 西村 聡)

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