2023年1月~12月
各メディアによる若者の就職意識調査について (2023.5月号)
各メディアによる若者の就職意識調査について (2023.5月号)
皆様こんにちは、社会保険労務士士法人ラポールの坂口です。
新年度に入りメディアなどでは新入社員の入社式の模様やインタビューの様子、採用傾向、賃金の情報などを報じております。私共のクライアント様においても新年度に入り新入社員や中途採用の従業員の方の手続き依頼を多く受けております。
コロナがようやく収束に向かっている中、最近の話しの話題と言えば原材料、エネルギー価格の高騰、値上げ、円安の問題、人件費の増額等ありますが、特に最近話しの話題に上がるのが人の募集、採用のことです。
私の実感ですがほとんどのクライアント様が募集、採用に頭をかかえております。大手は人材の採用確保の為、または流出を防ぐ為に賃上げや福利厚生の充実など様々な手を打っておりますが、中小企業の場合は上記のような影響や価格転嫁も思うようにできないこともあり中々賃上げをできるような状況ではありません。
ただ何もアクションを起こさなければこれまでの募集内容の形では採用が出来ませんので、日々色々とお考えになられ採用活動を行っておられます。
今回は今後を担っていく今時の若者世代がどういった会社に魅力を感じているのか、今時の若者の考え方、またどういったことを求めているのかなど気になる調査結果をもとにご参考頂ければと思います。また中途採用者においても考え方は一致する部分は多少なりともあると思われます。
◇マイナビ2023年卒 大学生就職意識調査
○就職観:「楽しく働きたい」が37.6%と今年も最多で、「個人の生活と仕事を両立させたい」「人のためになる仕事がしたい」が続いております。
→「楽しく働きたい」が3年ぶりに上昇に転じたようですが、コロナ化の中ワクチン接種も進み、収束に向かっているといったことで不安が軽減されているのも背景にあるようです。
また「個人の生活と仕事を両立させたい」の解答については先日テレビで仕事と私生活の割合を何対何にしたいですかという質問に5:5と新入社員が答えておりインタビュアーが驚いていたのと、そういった返答がその人だけでなかったこと、また入社式でそういった返答が出ることに今の時代を感じると答えておりました。
○企業志向:大手企業志向は半数を割って48.5%、中堅、中小志向が47.8%と大手企業志向に近づいております。
→やりがいのある仕事であれば中堅、中小志向でもよい、中堅、中小志向がよいという傾向が強くなってきており、両社の数値は17年卒以来最も近づいているようです。
○企業選択のポイント:安定しているが最多で43.9%、給料の良い会社、休日、休暇の多い会社、勤務制度、住宅など福利厚生の良い会社なども増加しております。
→休日、休暇の多い会社については、年間休日日数についてのご相談(増やす会社がほぼ100%)は特に最近多く、日数を増やさない限りは人の採用活動にも大きく影響が出ること、採用が難しいことを実感されておられます。年間休日日数については依然のメルマガで寄稿させて頂いておりますのでご参照下さい。(2022年4月号)
○行きたくない会社:ノルマのきつい会社が前年に引き続き最多37.4%で、次いで暗い雰囲気の会社、27.1%で上位2項目は2008年以来変わっていないようですが、2022年卒で上位3項目に上がってきた転勤の多い会社が今年も3位に入り26.6%となっております。
→最近は働き方の多様化などで勤務地限定の募集や働き方をする人も増えてきております。
また子供が全国転勤の会社に就職を希望した場合、賛成したと思うか、反対したと思うか聞いたところ、最も多かったのでどちらともいえない55.3%であったが反対と回答した保護者は29.6%と3割に上り賛成の15.1%を大きく上回ったようです。このデータをみると転勤の有無は本人にとっても重要なポイントであるが保護者にとっても大きな問題であり特に娘をもつ母親のほうが反対する割合は高いようであります。
我々のクライアント様の多くは各地に事業所があるケースは少なく転勤についてはほぼないケースが多いように思われます。中小企業への就職希望の傾向が大手に近づいている要因の一つでもあるかもしれません。
◇若手社員の仕事・会社に対する満足度調査(第6回)/勤続意欲
新卒社員1~3年目の男女600名に「当面3年間に対する仕事・会社に対する勤続意欲」を調べたところ、「3年後も勤務し続けていると思う52.5%、3年後は勤務し続けていないと思うが47.5%を上回ったものの前回より3ポイント減少しております。
3年後も勤続と回答した理由1位は「給料がよい」「福利厚生が充実している」「勤務時間や休日が自分に合っている」となり、他方3年以内に退職と回答した理由を尋ねたところ1位「給料が低い」「仕事にやりがいを感じない」「福利厚生が不十分」となっております。
→新卒社員の2人に1人が3年以内に退職する意向であり、厚労省の調査においても新卒社員の3割が入社後3年以内に退職する結果となっております。
コロナ化での採用ということもあり、十分なコミュニケーションが取れないまま採用され実際の仕事と理想の現実のギャップも要因と考えられます。
◇博報堂生活総合研究所(生活定点調査)
「高い給与よりも、休みがたっぷりな方がいい」:51.4%
「休暇志向VS高給志向」という質問に「休暇志向」と答えた人の割合は前回の調査からほぼ変化はなく51.4%となっており女性の方が5ポイント高くなっております。年代別では20代が61.6%で最多で全体より10ポイント高く若者の考え方が色濃くでた結果となっております。色々と考えさせられる結果となっておりますが、人材は必ず必要ですのでご一緒に考えていければと思います。
(文責 社会保険労務士 坂口 将)