メニュー

利益の5軸を確認しよう(2023.8月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

インフォメーション(過去のメルマガ)

2023年1月~12月

利益の5軸を確認しよう(2023.8月号)

~混沌とする不確実な時代へ~利益の5軸を確認しよう(2023.8月号)

私は今年で社労士事務所を立ち上げてから26年目になりました。この間、バブル経済崩壊後の長いデフレ、金融危機やリーマンショック、最近ではコロナ騒動という混迷混乱期がありましたが、今ほど混沌とした不確実さを感じることはなかったように思います。おそらく多くの経営者がこの混迷の時代、どうして行ったらいいのか恐怖と不安を抱えながら経営しておられるのではないでしょうか?

時代が右肩上がりでない場合、現状維持は衰退を意味します。従業員の給料を上げたり設備を更新してゆくためには成長が欠かせません。成長とは利益を拡大し続けることです。


今回は労務問題を離れて、これからの会社経営で基本に立ち返るべき私が思う経営の5軸について考えてみたいと思います。その5軸とは、

1.売上個数(販路拡大)により売り上げを伸ばす
2.従来の商品の価値を上げる(値上げする)
3.新商品で売り上げを伸ばす
4.コストを削減(効率化)して利益率を上げる
5.新事業に打って出る


以下順に見て行きましょう。

1.売上個数(販路拡大)により売り上げを伸ばす

今までと同じ商品、同じサービスでシェアを拡大して売り上げを伸ばす戦略です。まだ自社の商品が市場に行き渡っておらず、かつ世間にまだまだ受容される余地がある商品を持っている場合はこの戦略が可能でしょう。この戦略で生きて行くならば、拡大路線を取らざるを得ません。商品のパイを増やせば、いずれ必ず人員増、設備増、事務所増が必要になってくるからです。

しかし日本のトレンドとしては、人口減少により縮小経済に向かうことが予想できるため、パイを増やす戦略を取れる企業は必ずしも多くないものと推察します。貴方の会社の商品はまだシェアを伸ばせる余地がありますか?

2.従来の商品の価値を上げる(値上げする)


ではパイは増やさずに利益をアップさせるとしたら、従来の商品をより高く売る戦略を考えることになります。つまり付加価値をもっと上昇させるのです。しかし単純に値上げだけでは世間に受け入れられませんし、限界も有ります。旧商品に何らかの新しい価値を加えることで、今までより単価を上げて多くの利益を得ようとするものです。

これであれば全く畑違いの分野に打って出るリスクはなく、従来の延長線上で考えることが可能です。貴方の会社の商品には更に何かの価値を乗っけることができますか?


3.新商品で売り上げを伸ばす


今まで自社になかった新たな商品を開発し、売り出す戦略です。これは従来の商品の延長線上で開発するものと、全く違う発想で一から開発するものに分けられますが、開発にかかる時間と労力及と資金、そして何よりも時代を先読みする嗅覚が必要で、リスクが高いものです。また自社で開発せず、新商品を既に持っている他企業との連携(例えば会社買収などのM&Aや代理店契約など)という戦略もあり得るでしょう。


4.コストを削減(効率化)して利益率を上げる


1から3までと違い、どちらかといえば内向きの戦略です。また1から3と同時並行で行うことが可能な戦略でもあります。
コスト減というと人件費や仕入れが最初に思い浮かびますが、これには自ずと限界がありこれだけでは成長はままならないでしょう。直接のコストカットだけでなく、DXや業務改革により効率化を図ることでコストカットをすることも検討します。これは規模を問わずにできる戦略です。人口減少社会においてはAIやロボットによる省人化は避けて通ることは出来ず、人間は人間にしかできない仕事を創造して行くしかないでしょう。


5.新事業に打って出る


これも3の新商品で売り上げを伸ばす戦略と似ていますが、個別商品ではなく、事業体自体を新たに作り上げて拡大を図る戦略です。これはかなりの時間と労力及び資金が必要で、リスクも高いものです。またノウハウもなく自社で一から立ち上げるのが困難なら、他企業との連携(例えば会社買収などのM&Aなど)という戦略もあり得るでしょう。当たればリターンは大きいですが、日本で大多数を占める小規模企業では選択し難い戦略かもしれません。
しかし小規模企業でもM&Aが盛んな時代にもなって来ていることも事実です。決して実現不可能な戦略でもありません。

以上、簡単にこれから成長し続けるための戦略の基軸をどこに置くかについて、考えてみました。悩める経営者にとって少しでも光明になれば幸いです。

 

(文責 特定社会保険労務士 西村 聡)

お問い合わせ