2024年1月~12月
なにわ式 賃金管理の考え方(2024.12月号)
●なにわ式 賃金管理の考え方(2024.12月号)
私どもは社会保険労務士法人を営むとと共に、株式会社なにわ式賃金研究所を併設し、中小企業に特化した賃金体系の設計を承っています。
そこでは最低2名の企業でも賃金制度を導入した実績があり、多くとも50人から60人程度であり、専ら小規模企業を対象とした実績が豊富にあります。
今回は「なにわ式」において行っている制度設計の概要をご紹介させていただきます。
㈱なにわ式賃金研究所がご提案するメニューはいわゆる職能資格制度や大手で流行りつつある職務給(ジョブ型)制度でもなく、また過去多くの企業が失敗した成果主義でもありません。中小企業に特化した「運用のできる「なにわ式賃金設計」で、人間中心の賃金制度です。
私どもは制度を入れるだけのやり逃げの仕事はしません。責任をもって継続的にフォローします。
また大手コンサル会社のように1日中お客様の仕事を止めて、それを何工程も繰り返し、数百万円もかかる大層な制度は作りません。継続契約の場合、月々のご負担を平準化して、手の届く価格でご提供しています。
◎通常行っているメニュー
1.諸手当の見直し
意味のない説明の出来ない手当を廃止し、意味のある手当だけを残し、または必要な手当は新設します。このお金は何のために出しているのか?を明確にします。
2.ステージ(等級)の設定
例えば、(1)まだまだのレベル (2)一人前のレベル (3)ベテランのレベル (4)社長の片腕レベル のように大くくりで社員を格付けします。
3.年功給(年齢比例、勤続比例)を導入するかどうか検討
現在のトレンドでは年功給は時代遅れとされていますが、中小経営者の中には時間軸(年齢や勤続年数のこと)を大切にしている方が結構います。その思いがある場合はその感覚を落とし込みます。
4.基本給を生活給と評価給に分離
よく基本給の中に色んな要素をごちゃまぜにしていることが多いのですが、生活給としてもらっているお金と、評価に基づいてもらっているお金に明確に色分けします。
5.自社でメンテナンスが可能
細かな号俸表(いわゆる賃金表のこと)は作りません。これをやると時代が変わって見直しするときに大作業になり、既存社員の乗せ換えも大変です。等級ごとに上限下限の設定だけをします。これなら自社でもメンテナンスが可能で、持続性があります。
6.昇給(降給)ルールの設定
景気や会社業績によって昇給額を毎年変動できる制度にします。等級の上限額と下限額の間において毎年自由に昇給額(率)を見直しできる制度です。また必ず降給も入れます。
7.昇格ルールの設計
どのような条件をクリアすればで昇格(上の等級に上がること)になるのかの基準を提示します。
8.職能等級フレームの作成
いわゆるキャリアパス表を提示して、将来どのように出世して行ける可能性があるのか、人事制度の見える化をします。上昇志向のある方を繋ぎ止めるのに有効です。
9.役職者制度の設計
管理職の役割、任命基準を明示し、意図的にミッションを与えることにより、経営者側に立つ管理職を作って行く制度を提案します。
10.専門職制度の設計
管理職(自分の仕事以外のことをする人)にはなれないが、自分の技を極める方をエキスパートとして処遇する制度を提案します。
11.新卒者、中途入社者の採用時賃金の設定
新制度のもとで初任給をいくらで募集を出し、採用すればよいのか明確にします。
12.賞与配分方法の設計(シミュレーションソフト付き)
業績連動の考え方を活かした基本給とはリンクしない、一定の原資の範囲内で利益還元型の賞与制度を提案します。
13.人事考課表の作成
昇給昇格査定だけでなく、育成にも資する評価制度を提案します。但し人事考課は非常に難しい仕事なので、制度導入当時は作らず、賃金体系が安定してから数年後に導入することもあります。仕事基準、能力基準、執務態度基準、業績基準、主観認定評価など多様な制度を検討します。
14.賃金規程の作成
新ルールを就業規則(賃金規程)で文書化し、労基署へも届出します。分厚いマニュアルは作りません。賃金規程を見ればわかるようにします。
15.幹部説明会
ご要望があれば、1.5時間以内で説明会も開催します。
上記は基本的なメニューであり、企業ごとの実情により異なります。その他オプションで人事考課研修、組織診断などを行うこともあります。
いずれにしても、大前提として現行の固定賃金総額を厳守し、絶対に総額も個人の原資も減額はしません。今ある原資の中で合理的に組み換えをしますので、不利益変更にはなりません。おおよそ工程は最低6か月間は要します。
(文責 特定社会保険労務士 西村 聡)