平成25年1月~12月
当たり前の労務管理を採用活動に活かそう(H25.9月号)
●当たり前の労務管理を採用活動に活かそう(H25.9月号)
~募集効果をアップさせることにもつながる~
御社では、普通に残業代を出していますか? 年1回、健康診断を行っていますか? 労働条件をきちっと文書で交付していますか? 有給休暇はありますか? 社会保険にはちゃんと加入させていますか? 労働紛争が起こらない職場ですか? ブラック企業になっていませんか?
今回のテーマは、いかに求人募集において、応募効果を上げるかということなのですが、これは非常に難しいテーマです。いうまでもなくタイミングに依 るところが多く、仕事内容や募集条件、企業規模や立地など様々な要因が絡み合います。なかなか当たりが出ないくじ引きをするようなものです。一般的には仕 事内容を細かく書くとか、会社の魅力をアピールするとかが思いつきますが、今回は少し違った視点で確率が上がる求人の出し方を考えてみたいと思います。
私が今回ご提案したいのは、「当たり前の労務管理を採用活動に活かそう」です。これは一体どういうことなのでしょうか?
通常、中小企業の経営は世襲で行われています。経営一家に育てば、その子は親の会社に就職することになるのです。つまりこれは自分の会社以外、つま り世間の会社がどのようになっているのか、非常にイメージが湧きにくい状態といえます。一方、労働者の方はどうかと言うと、多くの中小企業を転職して来て いるのが普通です。これは中小企業の経営者ほど、他の中小企業のことが分からず、中小企業の労働者ほど、他の中小企業の実態を知っているということです。
そして世間では、意外?にも、冒頭のような当たり前の労務管理が行われていない実態が非常に多くあるのです。そして労働者はそういった現実を体験して把握しています。例えば…、
限度を超えて長時間労働になっている・・・・・。
残業代が出ない・・・・・。
正社員にすら健康診断を行っていない、ましてやパートなど・・・・・。
労働条件は社長の意のままで、勝手に変更されることも。契約を交わすという発想がない・・・・・。
そもそも有給休暇など、うちの会社にはないと言われた・・・・・・。
社会保険は認められた者だけしか入れない・・・・・・。
まだまだ一杯、ありますが、残念ながらこれが多くの中小企業の実態なのです。
実は転職労働者は、このような当たり前のはず?のことが、中小企業ではきちっと行われていないことを理解しており、ほとんどが妥協しながら良心的に 我慢している現実があるのです。ということは、今の世の中、当たり前の労務管理がきちっとできていること自体が、特別魅力的で有利な労働条件を提示できな くとも、まだまだ武器となり得るのです。むしろ中小企業間で特別有利な労働条件を提示できることの方が少ないでしょう。どこも似たり依ったりの条件が並ぶ のです。
そんな中、当たり前の労務管理ができている会社は、そのことをアピールするのです。「ここはきちっとしている会社」ということがアピールできれば、相対的に有利になります。
ただ形式的な労働条件を並べただけの募集広告で効果が出ないというなら、そもそも自分の会社の労務管理はどうなっているのか、点検すべきです。そし てきちっとした労務管理は採用後の定着や、紛争防止にも繋がるはずです。当たり前の労務管理ができているなら、それをもっとアピールしませんか?
{募集広告例}
残業はほとんどありません。定時帰宅がモットー。仕事と私生活のバランスを大切に考える会社です。
残業時間は1日平均1.5時間程度。サービス残業はありません。やった分をきちっとお支払いします。
年1回 健康診断あり。パートの方も受けられます。従業員の健康第一!
就業規則、労働契約書完備。きちっと書面で行っています。
多くの従業員が有給休暇を満喫しています。パートさんもイキイキと!
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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