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労災だけでは安心できない、安全配慮義務 H16.6月号より | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

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労災だけでは安心できない、安全配慮義務 H16.6月号より

事業主に課せられている義務の1つに安全配慮義務があります。
~年1回は定期健康診断を~

 万が一、労働者が大きな業務災害(過労死などの職業性疾病を含む)に被災した場合、「我が社は労災に加入しているから大丈夫」と考えておられることはないでしょうか。労災というのは1本の保険料で、療養・休業・介護・障害・遺族補償等、隅々まで行き届いた保険なのですが、実は重大災害が発生したときには、その損害の全てを填補するものではないのです。
どういうことかと申しますとわが国の労働災害に対する考え方は労災保険と民事上の責任との併存主義を取っているからです。つまり被災労働者またはその遺族は、労災で足りない部分を民法の条文を使って使用者に請求できるということなのです。安全配慮義務とは「使用者は、・・・労働者が労務提供のために設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負っているものと解するのが相当である。」とされる考え方です。
あまり重篤でない災害の時は大抵の場合、労災から支給されればそれ以上もめる事なく決着するものですが、事が大きくなればそう簡単には行きません。本人とは穏便に行っても、家族や親類から問題が大きくなることもしばしばです。
今までの判例を見てみませと、一人そういう方が生じれば、中小企業の体力では補償できないような巨額な支払命令(億を越えるような)がたくさん出ています。人を使っている企業として、決して対岸の火事ではないのです。
そうすれば普段事業主はどのような具体的配慮をしておかなければならないのでしょうか。紙面の関係上微細に申し上げられませんが、中小企業の場合、まず従業員にきちんと健康診断を受けさせる事が先決です。健康診断というのは実は任意ではなく、労働安全衛生法という法律の中に義務化されているものです。ところが中小企業の場合、それすら実施できていないことがまま見受けられます。安全配慮はまず健康診断から進めてゆくのが、転ばぬ先の杖の第一歩だと思います。

文責 特定社会保険労務士 西村 聡
もっと見る :http://www.nishimura-roumu.com

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