平成19年1月~12月
お天道様はきっと見ている…だから、まっとうな会社でいよう! (H19.2月号)
●お天道様はきっと見ている…だから、まっとうな会社でいよう! (H19.2月号)
こんな会社があるとしよう。A社は売上高、経常利益とも大幅に伸びており、従業員数、会社規模も中小企業にしてはかなり大きいほうだ。社長は会社の利益を上げることに一所懸命で、そのためなら多少の無茶は厭わない。だから遵法意識は決して高くなく、ばれなきゃ得なことを選択してもいいと考えている。我が社の利益第一主義で、その思想の中には社会や従業員に対する意識はあまりない。ワンマン的で強烈なリーダーシップを持っており、黒いものも白いと言い切る妙な強さを維持している。しかし従業員のモチベーションは低く、永年勤めてくれる者はなく、他にいい会社が見つかればいつでも転職したいと思っている。
一方、B社はそんなに急成長はしていない。安定成長ではあるが、ときどき赤字すれすれの決算になることもある。規模もそこそこな程度で、決して外観上は立派なものではない。しかし社長は決して無茶はしない。決められたルールの中できちんと利益を上げられればそれでよく、ウチの会社を通してお客さんや従業員が幸せになり、その上で会社が成長できればと考えている。
これらは少し極端な例ですが、バブル崩壊以降の厳しい経済環境の中で、余裕を失った経営者の中に、A社のようなタイプの方が多くなったような気がします。倫理感や規範意識の低さを憂慮するものです。経営者がどのような経営理念や人生観、人間観を持って経営を行なおうとそれはもちろん自由なのですが、少なくとも「まっとうな会社」であるべきだと思うのです。
「まっとう」という言葉を辞書で引くと、まとも、ちゃんとしている、真面目などの意味が出てきますが、私はもっと広い意味でこの「まっとう」という言葉を捉えています。いい響きの言葉だと思いませんか? 今は死語になりつつありますが、お天道様はきっと見ていると信じたい。まっとうな生き方をしてる人には、ちゃんとお天道様が付いていると。
では「まっとうな会社」とはどのようなものでしょうか。私が思うに、まず決められたルールの中で努力することです。ルールを破って良い結果が出ても、それはむなしい。いつか罰を受けることになるでしょう。
それから会社が生み出す製品やサービスが社会に役立っていること。小さくとも世の中に貢献している誇りです。お金をもらって、お客さんが不幸になるなんてあり得ない。ウチの会社は社会的価値があるという誇りを持てることです。
さらにそこで働く従業員が会社を通じて自己実現し、物心両面で幸せな暮らしを送ってくれること。他にもっといい待遇の会社があるにもかかわらず、中小零細企業に勤めに来てくれている従業員に感謝したい。もし初詣で手を合わせるなら、自分や会社のことだけではなく、従業員の幸せも一緒に祈りたい。
その上で、必ず利益を出し、税や保険料をきちんと納めること。これは今の世で生かされている経営者としての社会的使命です。株主へ還元するのは最後です。
まっとうな会社とは、数字や外観ではありません。お客さんに対して、従業員に対して、社会に対して誇りをもって、ウチの会社を語れることだと思うのです。品格のない会社に誇りは持てません。小さくても誇りを持てる会社の方がずっといい。お天道様はきっと見ている・・・ だから、まっとうな会社でいよう!
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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