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空前の求人難、、、多様な働き方の提示で乗り切れるか?(2024.6月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

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2024年1月~12月

空前の求人難、、、多様な働き方の提示で乗り切れるか?(2024.6月号)

●空前の求人難、、、多様な働き方の提示で乗り切れるか?(2024.6月号)


採用状況が逼迫しています。バブル期を上回る売り手市場となり、人手不足による倒産や縮小も現実のものになってきました。2,000年代に入ってから構造的に労働力人口が減っていること、コロナが明けて経済活動が回復していることが大きな要因かと思われますが、仮説として従来の働き方が崩壊してきていることも要因のように思われます。どういうことでしょうか?

皆さまは「タイミー」ってご存知でしょうか?最近はメルカリが「メルカリ ハロ」というのを開始したとの報道もありますが、いわゆる「スキマバイト」のマッチングアプリのことです。

いま飲食業を中心に猛烈に勢いを伸ばしているこれらの仕事マッチングアプリ。これらを利用する若者は昭和的な働き方とは無縁の人達です。自分が働きたいときだけ働き、即金でもらう。そんなことの繰り返しです。いわば日雇いバイトなのです。私のように古い人間から見ると信じがたい働き方ですが、これが受けているのです。

先ほど昭和的な働き方と言いましたが、これはつまり朝9時に出社して18時まではおり、月~金曜まで毎日働くモデルのことです。これが当たり前と思ってきましたが、「タイミー」で仕事を探す彼らは対極にいます。

そうすると現在の人手不足は労働力人口の絶対的な減少要因だけではなく、昭和的な従来の働き方へ応募する若者が相対的に減少していることも要因ではないかと考えられるのです。

ほとんどの企業が日雇いバイトで対応するのは無理があり、やはり昭和的な働き方を中心に考えざるを得ないとしても、単一の正社員モデルだけでなく、日雇いマッチングまでとは行かなくとも多様な働き方を提供して行かないと、乗り遅れるのではないかと考えられるのです。多様な雇用形態が登場してきています。従来の典型的な勤務シフトである毎日フルタイム勤務が静かに崩壊し出しているのです。


これからは好むと好まざるに拘わらず、求職者の多様な就労ニーズ、言いかえると「わがまま」に応えて行けるかどうかが人材確保の成否を分けることとなる可能性が高いのです。今まで企業は顧客のニーズ(わがまま)に対しては対応をしてきましたが、今後は求職者を顧客と見立てて、そのニーズに応えて行ける企業が、採用活動で生き残る企業になって行くのかもしれません。

企業の論理としては、毎日決まった時間に決まった人が働いてくれる方が、何かと都合が良いのは明らかです。しかし現代の多様化した求人ニーズに応えていかなければ、競り負けることとなってしまいかねません。では多様な働き方とはどんなものがあるのでしょうか?


取り上げる多様なな働き方のバリエーションは、
1.週休3日制
2.短時間正社員
3.兼業・副業
4.テレワーク
5.限定正社員(配置転換のない勤務地限定、職種変更のない職務限定、時間外労働のない時間限定)
6.時差出勤(全員一律出社に拘らず、段階的に出勤時間をずらす)
7.勤務インターバル(終業後から一定時間を空けること。例えば夜遅くまで残業した場合に、始業時刻をずらす)
8.フレックスタイム(自分で自由に勤務時間を決められる)
9.裁量労働制(自由出勤制)
です。


1.週休3日制

特に日曜日や祝日など、通常多くの人が休日である日に労働者を確保したいサービス関係業種は検討に値する方法です。その仕組みは簡単で、法で認められた変形労働時間制(1ヵ月または1年単位)を活用して、以下のような設計にします。

(1)1日の所定労働時間を10時間とする。
(2)1週に3日の休日を与える。
(3)出勤日に土日祝の日を入れる(マストではない)。
(4)就業規則を変更する。

これだけです。つまり人が集まり難い休日に出てもらう代わりに、週3日の休日を約束するのです。しかも1日10時間までは残業代もかかりません。おそらく家族と休日を合わす必要の薄い独身層や、休日の確保を重視する求職者には訴求力があるでしょう。こういった人の立場で考えれば、1回出勤すれば、10時間も8時間もさして変わりはなく、それなら休日が多い方を選択するはずです。しかも総労働時間は通常フルタイム勤務者と同じですから、給与体系を変更する必要もありません。


【求人広告記載例】
◎完全週休3日制社員募集!!1日10時間ですが、毎週必ず3日休めます(年間休日156日)!!
~給与水準は通常の正社員と同じです~

2.短時間正社員

正社員は毎日8時間で皆と同じ、という先入観に囚われる必要はありません。役割や人材活用の仕組みが同じなら、正社員であっても1日6時間勤務など、変化を付けても構わないのです。例えば小さな子どもを持つ労働者を例に考えて見ましょう。保育所への送り迎え、子どもの晩御飯の支度等々、通常の始業終業時刻で拘束されることは躊躇するでしょう。

そもそも現在の育児介護休業法では、1日6時間とする育児のための短時間勤務制度があり、既に全ての企業に義務付けられているのです。従って、フルタイム勤務には制約があるが、正社員として働きたいと考える層にとっては、この短時間正社員制度は魅力的に映るでしょう。但し、給与体系は通常の正社員と同じとはならず、削減される時間に比例して逓減させることとなります。


【求人広告規制例】
◎1日6時間  短時間正社員制度 あります!!
※小さなお子さんをお持ちの方、家庭や趣味と両立をしたい方に最適!!
※給与水準以外は、全てフルタイム正社員と同待遇です。

3.兼業・副業

従来は多くの企業で、兼業・副業は認めて来ませんでした。しかし政府では、この兼業・副業を企業に普及させる方向で考えており、今までは原則禁止にしていた厚生労働省のモデル就業規則でも、原則容認で改訂がなされています。

昨今、残業削減の影響で、実質賃金が目減りする人たちが発生しています。残業削減の中で、もっと稼ぎたいと思う方にとって、ちょこっと副業で稼げるのは魅力的でしょう。兼業副業には、労働時間の通算方法や、災害時の補償のあり方など複雑な部分もありますが、週2,3日とか、夕方以降だけでもシフトに入ってもらえれば助かるような企業には、検討の余地が有るかと思います。

【求人広告規制例】
兼業・副業をお考えの方、大歓迎!! 短時間、週2から3日相談
※本業の他に、ちょこっと収入を増やしませんか?
※配偶者控除の関係、生活保護の関係、兼業先との関係でたくさんは働けないけれど、少しだけ働きたい方には最適!!

4.テレワーク

情報通信機器が発達し、企画や製作、事務関係の仕事では、会社を離れて仕事ができる環境が整いました。コロナ下で導入した企業も多いと思いますが、ZOOMやチャットワークなどにより、遠隔地でもビデオ通話ができ、電話とFAXだけの時代では不可能だったことが出来る時代となったのです。テレワークとひと言で言っても、その形態は在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務とありますが、その中でも在宅勤務は有力な検討候補の一つです。
育児や介護と仕事を両立させたいと考える人、通勤が困難な地域に居住する人などには、魅力的な働き方として映るでしょう。

【求人広告規制例】
◎事務員募集、テレワーク(在宅勤務)もOK!
~自宅に居ながら、好きな時間にお仕事可能。通信機器は貸与します~

(以下次号)

 

 

(文責 特定社会保険労務士 西村 聡)

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