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社会保険適用拡大について考える(2024.8月号) | 社会保険労務士法人ラポール|なにわ式賃金研究所

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2024年1月~12月

社会保険適用拡大について考える(2024.8月号)

●社会保険適用拡大について考える(2024.8月号)

2024.10月より社会保険適用拡大の規模要件が従業員数101人以上から51人以上へと変更になります。


1.9月までと10月からの加入要件の違い

◎2024年9月までの加入要件 
・1週の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が常時雇用者の3/4以上


◎2024年10月より 従業員数51人以上の企業の加入要件
・週の所定労働時間が20時間以上 ※残業時間は含みません。
・所定内賃金が月額8.8万円以上  ※基本給、諸手当を指し残業代、通勤手当、賞与、最低賃金に算入しない賃金(家族手当、精皆勤手当は含みません。
・2カ月を超える雇用見込がある
・学生でない          ※休学中、定時制、通信制の方は対象です。


従業員数51人以上とは以下のA+Bの合計で、要するに「現在の厚生年金保険の適用対象者」でカウントします。
Aフルタイムの従業数 + B 週労働時間がフルタイムの3/4以上の従業員数                               
※従業員数には、パート・アルバイトを含みます。

2.51人を超える(見込み)企業で9月までに行っておく対策

社会保険の加入要件が変更される前の9月までに以下のような対応が必要と考えられます。

① 社会保険の適用拡大に関する内容について認識・把握
② 事前準備(人件費の負担額試算・説明資料の作成等)
③ 経営陣や幹部への説明・報告・承認
④ 現場責任者(各拠点の労務管理者・所属長)への案内・説明
⑤ 対象となる従業員への周知、説明、対象となる従業員の把握(一番大事!!)

今回は⑤の「対象となる従業員への周知、説明、対象となる従業員の把握」について触れていきたいと思います。
対象となる従業員への周知、説明については日本年金機構が発行しておりますリーフレット等(当事務所でも簡単な「社会保険の加入について」の案内を作成しております。HP書式ダウンロードコーナー参照)を活用しながら、社会保険加入のメリットなどを従業員に説明し理解して頂く必要があります

対象となる従業員の把握については要件を満たすかどうかの労働時間の確認をエクセルシートなどで一覧化して確認する方法などが考えられます。
一番の目安は週の所定労働時間が20時間以上のパートさんを抽出することです。おそらくこれらの方は雇用保険には加入しているはずです。


また加入要件を満たす従業員については、今後の働き方について本人と相談の上、様々なケースが想定されます。おおよそ以下のようなケースが想定されます。
① これまで通りの労働時間、勤務形態で働く。→社会保険にも加入してもらう
② ①のままだと社会保険加入で手取り額が減少するので労働時間をもっと増やしたい。
③ 10月以降については、加入要件に満たない労働時間、勤務形態に変更したい。
④ これまでの労働時間がちょうどいいので、これまで通りの労働時間で社会保険の加入要件を満たさない他社(50人以下の会社)への転職


昨今、採用難が続いております。10月にはおそらく最低賃金の改定も行われます。10月間際になって上記のような想定していないことが起きることにより現場が混乱する可能性もあります。今からでも早くはありませんので、対象従業員の把握と10月以降の働き方の希望、意向確認(当事務所においても「社会保険適用拡大に関するアンケート」の案内を作成しております。HP書式ダウンロードコーナー参照)をおこない社会保険の適用拡大に備えて頂ければと思います。

3 まとめ

最後に当社はまだ50人も従業員がいないので大丈夫とお考えの経営者の方もいらっしゃるかもしれませんが、加入規模の人数要件はいずれは撤廃される可能性が高いと思われます。実際に先日開催されました、働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会では「経過措置として設けられた本用件については他の要件に優先して、撤廃の方向で検討を進めるべきである。・・・」と提言されております。

働き方自体が多様化されてきているこの時代、今後のことも踏まえご一緒に考えていければと思います

 

(文責 社会保険労務士 坂口 将)

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