平成28年1月~12月
これからの労務管理のキーワードは生産性の向上、つまり「脱残業」だ! (H28.10月号)
●これからの労務管理のキーワードは生産性の向上、つまり「脱残業」だ! (H28.10月号)
~行き残りのための残業削減策を考える その3~
●これからの労務管理のキーワードは生産性の向上、つまり「脱残業」だ! (H28.10月号)
~行き残りのための残業削減策を考える その3~
今回からはどのようにして残業を削減して行くかを具体的に考えて行きたいと思います。
ところで・・・・・
そもそも残業が発生する原因は何でしょうか?この原因が分からなければ対策の打ちようがありません。大まかには、次のように考えることができます。
1.社外要因 2.社内要因
社外要因とは、例えば親会社から来る短納期とか、閉店間際の来客とかいったことです。実はこの原因が一番大きいかも知れません。ほとんどの社員は自分で仕事をコントロールできる裁量がなく、いわば仕事が上から降ってくるため、必然的に残業せざるを得ない環境下に置かれるのです。ただ、社外要因といいながらも、管理職や営業担当が顧客をきちんとマネジメント(教育)できていないことから来る場合もあり、そいいう意味では社内要因という側面も相当あります。
また2の社内要因は、
2-1 仕事量の問題 2-2 仕事の質の問題 2-3 仕組みの問題 2-4 組織風土の問題
に分解することができると思います。つまり自社内に問題がありますから、対策が打ちやすい分野です。よく社員の要領の悪さなど、「社員の資質の問題」にスポットを当てがちになりますが、社員の能力の問題だけではないのです。
これらを前程に置きながらも、頭の中でなんとなく考えるだけでなく、図や表に書き出してみることが原因を探求するポイントになります。箇条書きでも構いません。まず、目の前で紙に書き出してみることが大切です。今回は、ロジックツリーという思考法を使って、「残業を減らすためにはどうすれば良いか?」の命題に対して、考えて行きましょう。以下は例であり、内容や形は企業ごとに異なります。
(大テーマ)
◆残業を減らすには
(大項目) (主要因) (なぜ、どうすれば・・・・・・)
■社外要因 → 今回は見送り
■社内要因 → ●仕事量の問題(多い) → ◎仕事自体の削減 → ○不要な仕事の洗い出し(仕事の整理)
→ ○受注を控える
→ ◎仕事を振る → ○他の人に振る → ・個人ごとの仕事の棚卸し
→ ○外注する
→ ○増員する
●仕事の質の問題(遅い)→ ◎仕事自体の生産性UP → ○個人のスキルUP
→ ○自動化・IT化
→ ○最新設備の導入
→ ○割り込みによる速度低下 →・集中タイムの設定
→ ◎仕事以外の時間削減 → ○無駄な休憩時間削減
→ ○会議時間の削減 →・30分会議
→・立ち会議
→・社内資料の簡素化
●仕組みの問題 → ◎重複作業の削減 → ○指示書の統一
→ ○全体を見渡せる人の配置
→ ◎納期の改善 → ○営業の受注方法を変える
→ ○発注担当者への働きかけ
→ ◎マネジメント力UP → ○ヒトのマネジメント →・適性配置
→・複数担当制
→ ○モノのマネジメント →・自動化・IT化
→・最新設備の導入
→・故障修理メンテナンス
→ ○時間のマネジメント →・タスク管理
→ ◎労働時間制度の変更 → ○フレックス
→ ○裁量労働
→ ○インターバル制
→ ○テレワーク
→ ○残業自体の禁止 →・19時強制退社
→・早出出勤の奨励
→・残業事前許可制
→ ◎人事評価制度の変更 → ○半年から毎月チェックに
→ ○長時間の成果は評価を低くする
●組織風土の問題 → ◎経営者の意識 → ○経営者が本気になる(繰返し啓発注意)
→ ○長時間労働を評価しない
→ ◎社員の意識 → ○野球型(時間無制限)からサッカー型(時間制限)へ → ・19時強制退社
→ ○家庭生活を充実させる → ・帰社後の趣味奨励
↓
ターゲットを絞り込んで、更に具体的対策へ
例えばこのように、各企業ごとに残業が発生している原因を突き止め、パレートの法則※のように主要な原因に対策を絞って、具体策を施して行くことになります。
以下次号。
※パレートの法則 80対20の法則ともいい、上位20%が全体の80%を支配するというもの。
(文責 特定社会保険労務士 西村 聡)