平成23年1月~12月
従業員のレベルアップの方法を考える その4 H23.9月号
● 従業員の能力(レベル)アップの方法を考える その4
1.能力基準でなく、仕事基準で考える(キャリアアップシートの活用)
2.対象者の損益分岐点を探る(給料分の稼ぎとはいくらか)
3.自分で対策を考えさせる
4.グラフを使って視える化する
5.毎月チェックする
6.いい行動は強化する
7.インセンティブを与える
8.指導担当責任者を決める
前回は上記のうち、3の「自分で対策を考えさせる」について申し上げました。今回はその第4弾、「グラフを使って視える化する」に
ついて、考えたいと思います。
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱したメラビアンの法則というものがあります。この研究は人間のコミュニケーション
について何が影響を及ぼすかというもので、、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報
が55%の割合であるとされました。つまり人は話の内容よりも見た目でほとんどを理解しているということを表しています。
この心理法則を利用したのかは分かりませんが、トヨタ自動車を始め、各方面で「視える化」が行われています。要するに「目で視る管
理」のことです。販売系の営業会社ではよく売上高やシェアをグラフにして行われていますが、中小企業では事務所へお邪魔しても、余り
見かけることがありません。大手のマネをするのではなく、身の丈に合った「視みる化」を仕掛けとして取り入れてみることをお勧めしま
す。これを行うと、従業員のレベルアップにも繋がるからです。
自分の経験ですが、かつて求人広告の営業マンでした。しかし特段ノルマはなく、3人の営業マンが皆で協力して紙面を満稿にすればいい
という空気でした。でも景気が悪く、世は求人どころではなく、ボードに貼り出した白紙紙面に受注した原稿枠で黒く埋めるのは大変でし
た。枠が埋まらずほとんど白いままのときすらあります。でも従業員時代の自分は気楽です。大した危機感もなく給料を安定してもらって
います。
ある日社長がマジックで白紙ボードに太線を2本引きました。白ボードが3分割されたのです。分割された横には3名それぞれの名前が書き
込まれました。それを目で見ると、自分の名前が書かれている範囲が白いままだとかっこ悪い。皆で仲良くではなく、自分の役割は最低こ
こまでということが「視える化」されたのです。たったこれだけのことです。
イメージが付きましたでしょうか?
ですから難しく考える必要はありません。その企業独自の「視える化」されたものを貼り出して欲しいのです。何でもいいです。
例えば、
・工数の棒グラフ(1時間当たり何個作っているか)
・賞与の壷(壷の絵の中に賞与原資が溜まってゆくイメージ。多ければ多いほど分配額が上がる)
・お客様からのお褒めメッセージカードの貼り出し(気持ちのいい店員の名前)
・無事故、無違反、無災害の記録(ゴールド賞、シルバー賞)
・退職金のポイントが給与明細欄外に加算され表示される などなど
あまり窮屈にならず、難しく考えず、「視える化」の仕掛けを一緒に考えて行きませんか?
文責 特定社会保険労務士 西村 聡
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