平成29年1月~12月
社内コミュニケーションを考える H29.10月号
社内コミュニケーションを考える(H29.10月号)
皆様こんにちは、西村社会保険労務士事務所の坂口です。
事業所様を日々訪問させて頂いている中で、必ず最近話題になるのが「求人募集において苦労されていること」、「社員の社内コミュニケーションのこと」、「昨今頻繁に取り上げられている長時間労働の問題のこと」です。
求人募集においては売手市場なこともあり、中々求人を出しても応募がないのが悩みでありハローワークだけで求人募集されている事業所様はほとんどなく、他の有料媒体を併用して活用されております。長時間労働についても電通事件があり、長時間労働防止対策の延長で盛り込まれることになった「時間外労働の絶対的上限規制」など改正労働基準法の話もよく出ます。今回のテーマは必ず話題になる一つの社内コミュニケーションについてで以前のメルマガでも視点は違えど何度か取り上げさせて頂いておりますが、各事業所様で感じておられること、また実際に行っておられる社内コミュニケーションについてご紹介させて頂ければと思います。
その前にコミュニケーション以前の問題にはなりますが、挨拶が出来ない従業員が増えているとよく聞きます。昨今は挨拶がないこともあってか隣近所ですら誰が住んでいるかわからないといったことがあり、隣近所ですら挨拶もなくそういった環境の中で育ち、広い社会に出ていきまず挨拶が出来るのかといったことです。環境が人を育てるといいます。挨拶のない職場では社内が暗く、休憩時間中も各々が携帯をさわりコミュニケーションを取るといったことがあまりありません。そういったことは業務中も当然にあり同じ部署間、他部署間でも仕事のやり取りについての連携が作用せず、自分の仕事が終われば帰社する、周りの人の仕事が残っていても声掛けが出来ない、他の従業員への配慮が出来ないなどといったことが挙げられます。ひいてはコミュニケーションが取れないことは長時間労働にも繋がり、コミュニケーションの円滑化は長時間労働の抑制にも大きく効果を発揮します。
昨今大手では所定労働時間の短縮を実施されている企業が増えてきておりますが、中小企業には難しいのが現状です。所定労働時間を短縮すると生産性がどうしても下がります。生産性を下げない為にいかに効率よく作業を行うか社内で議論し、それが社内コミュニケーションの活発化に繋がり生産性を落とさず、かつ社内コミュニケーションがよくなったということもあるようです。
ではその社内コミュニケーションについて事業所様に色々お話を伺い実際実践されていることをご紹介させて頂きますので、ご参考にして頂ければと思います。
・懇親手当(管理職等に従業員間のコミュニケーションの円滑の為の懇親手当を支給する)
・誕生日パーティ(必ずしも各人ごとではないが従業員の誕生日に店を予約してお祝いをする)
・社長自ら従業員の誕生日を把握してのプレゼント
・休憩時間の際に休憩場所を設けてお茶菓子を提供し従業員が集まりやすい環境を作る
・社長、専務自ら時間を見てはお茶菓子を従業員へ配っての話しかけをおこなう
・慰安旅行(最近また実施されている企業が増えてきているように感じます)
・ウォーキングの会(定期的に社長、従業員で場所を決めてウォーキングし、その後昼食を共にする)
・会社施設を利用してのバーベキュー(家族、子供、取引先も呼んでの)
・家族旅行の為の資金援助(家族に対しても感謝の気持ちを込めて)
・社内木鶏会(人間学を学ぶ雑誌「致知」を読んで、感想を言い合う会です。「致知」はひとの体験談を主に書いております)
・社歌をつくる(最近ブームになってきているようで社歌コンテストも開催されるなど、メディアにも頻繁に取り上げられています)
・目安箱(意見を直接言いにくい場合に設ける投書箱のようなもの)
・提案、表彰制度
・伝達制度(社長へは直接言いにくい場合など間に入ってもらう人を選任し意見を聞く)
各社様々なことをされておりますが、最終的に私が感じることはコミュニケーションについては上司同僚部下、部署間と様々あるかと思いますが、上司にまかせっきりにならず、経営者自らがいかにこの問題を考え積極的に取り組んでいるかによると感じます。会話の多い事業所様は親睦行事等の会社行事も多く、また参加者も多いと聞きます。企業の規模やそれ以外にも多くの仕事も抱えておられる経営者様にとっては難しい事ではありますが、求人募集の現状、今後の労働力人口の減少を考えると、現有社員とのコミュニケーションについての問題も重要なのでは感じる次第です。
(文責 社会保険労務士 坂口 将)