平成30年1月~12月
如何にして求人広告の応募効果をアップさせるかを考える その2(2018.4月号)
如何にして求人広告の応募効果をアップさせるかを考える その2 (2018.4月号)
~バブル期を超える求人難時代の到来!!~
●如何にして求人広告の応募効果をアップさせるかを考える その2 (2018.4月号)
多様な雇用形態が求人市場に登場してきています。従来の典型的な勤務シフトである日勤フルタイム勤務(例 平日9時~18時など)が静かに崩壊し出しているのです。
これからは好むと好まざるに拘わらず、求職者の多様な就労ニーズ、言いかえると「わがまま」に応えて行けるかどうかが求人の成否を分けることとなる可能性が高いのです。今まで企業は顧客のニーズ(わがまま)に対しては対応をしてきましたが、今後は求職者を顧客と見立てて、そのニーズに応えて行ける企業が、求人活動で生き残る企業になって行くのかもしれません。
企業の論理としては、毎日決まった時間に決まった人が働いてくれる方が、何かと都合が良いのは明らかです。しかし現代の多様化した求人ニーズに応えていかなければ、競り負けることとなってしまいかねません。
そこで今回は、今、静かに進行している多様な働き方をご紹介すると共に、求人広告とリンクさせることを考えてみたいと思います。
取り上げる柔軟な働き方のバリエーション
1.週休3日制
2.短時間正社員
3.兼業・副業
4.テレワーク
1.週休3日制
ユニクロや佐川急便などが先駆けて導入し、新聞紙上でも報道されました。特に日曜日や祝日など、通常多くの人が休日である日に労働者を確保したいサービス関係業種は検討に値する求人方法です。
その仕組みは簡単で、法で認められた変形労働時間制(1ヵ月または1年単位)を活用して、以下のような設計にします。
(1)1日の所定労働時間を10時間とする。
(2)1週に3日の休日を与える。
(3)出勤日に必ず土日祝の日を入れる。
(4)就業規則を変更する。
これだけです。つまり人が集まり難い休日に出てもらう代わりに、週3日の休日を約束するのです。しかも1日10時間までは残業代もかかりません。
おそらく家族と休日を合わす必要の薄い独身層や、休日の確保を重視する求職者には訴求力があるでしょう。こういった人の立場で考えれば、1回出勤すれば、10時間も8時間もさして変わりはなく、それなら休日が多い方を選択するはずです。しかも総労働時間は通常フルタイム勤務者と同じですから、給与体系を変更する必要もありません。
【求人広告記載例】
◎完全週休3日制社員募集!!1日10時間ですが、毎週必ず3日休めます!!
~給与水準は通常の正社員と同じです~
2.短時間正社員
正社員は毎日8時間で皆と同じ、という先入観に囚われる必要はありません。役割や人材活用の仕組みが同じなら、正社員であっても1日6時間勤務など、変化を付けても構わないのです。
例えば小さな子どもを持つ女性労働者を例に考えて見ましょう。保育所への送り迎え、子どもの晩御飯の支度等々、通常の始業終業時刻で拘束されることは躊躇するでしょう。
そもそも現在の育児介護休業法では、1日6時間とする育児のための短時間勤務制度があり、既に義務付けられているのです。従って、フルタイム勤務には制約があるが、正社員として働きたいと考える層にとっては、この短時間正社員制度は魅力的に映るでしょう。但し、給与体系は通常の正社員と同じとはならず、削減される時間に比例して逓減させることとなります。
【求人広告規制例】
◎1日6時間 短時間正社員制度 あります!!
※小さなお子さんをお持ちの方、家庭や趣味と両立をしたい方に最適!!
※給与水準以外は、全てフルタイム正社員と同待遇です。
3.兼業・副業
従来は多くの企業で、兼業・副業は認めて来ませんでした。しかし政府では、この兼業・副業を企業に普及させる方向で考えており、今までは原則禁止にしていた厚生労働省のモデル就業規則でも、原則容認で改訂がなされています。モデル就業規則では以下のようになっています。
(副業・兼業)
第○条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
(1)労務提供上の支障がある場合
(2)企業秘密が漏洩する場合
(3)会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
(4)競業により、企業の利益を害する場合
本年1月にはガイドラインを発出しています。
(副業・兼業の促進に関するガイドライン)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html
昨今、残業削減の影響で、実質賃金が目減りする人たちが発生しています。残業削減の中で、もっと稼ぎたいと思う方にとって、ちょこっと副業で稼げるのは魅力的でしょう。兼業副業には、労働時間の通算方法や、災害時の補償のあり方などで、まだ法的に未整備な部分もありますが、週2,3日とか、夕方以降だけでもシフトに入ってもらえれば助かるような企業には、検討の余地が有るかと思います。
【求人広告規制例】
兼業・副業をお考えの方、大歓迎!!
※本業の他に、ちょこっと収入を増やしませんか?
※配偶者控除の関係、生活保護の関係、兼業先との関係でたくさんは働けないけれど、ちょこっと働きたい方にも最適!!
4.テレワーク
情報通信機器が発達し、企画や製作など事務関係の仕事では、会社を離れて仕事ができる環境が整ってきました。スカイプやチャットワークなどにより、遠隔地でも無料でビデオ通話ができ、電話とFAXだけの時代では不可能だったことが、出来る時代となったのです。テレワークとひと言で言っても、その形態は在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務とありますが、その中でも在宅勤務は有力な検討候補の一つです。
看護や介護と仕事を両立させたいと考える人、通勤が困難な地域に居住する人などには、魅力的は働き方として映るでしょう。
これについては本年2月に労務管理上留意すべき事項がガイドラインとして発出されています。
(情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html)
【求人広告規制例】
◎事務員募集、テレワーク(在宅勤務)もOK!
~自宅に居ながら、好きな時間にお仕事可能。通信機器は貸与します~
短時間正社員・兼業副業、テレワークを導入する場合は、規程の作成や書式の整備が必要となります。弊社でも導入支援を致します。
また、今回は割愛しますが、これらの他にも以下のような働き方が広まりつつあります。
5.限定正社員(配置転換のない勤務地限定、職種変更のない職務限定、時間外労働のない時間限定)
6.時差出勤(全員一律出社に拘らず、段階的に出勤時間をずらす)
7.勤務インターバル(終業後から一定時間を空けること。例えば夜遅くまで残業した場合に、始業時刻をずらす)
8.フレックスタイム
9.裁量労働制
こういった制度を求人広告にきちっと書き込み、柔軟な働き方ができる企業であることをアピールして行くのです。
(文責 特定社会保険労務士 西村 聡)