企業としての対応が迫られている
2009年5月から始まる裁判員制度、一般市民が司法に参加するこの制度は、平日に裁判に参加することになり、勤労者は仕事を休む必要が出てきます。裁判員に選ばれた人の所属する企業では、その休みへの対応が迫られています。
裁判員制度とは
裁判員制度は、一般市民が刑事裁判に参加することにより、裁判が身近で分かりやすいものとなり、司法に対する信頼の向上につながることが期待されています。一般市民が裁判に参加する制度は、アメリカやイギリス、フランス、ドイツ等でも行われています。 日本の裁判員制度では、まず、地方裁判所ごとに裁判員候補者名簿が作られます。選ばれた候補者へ、調査票と共に候補者となったことが通知されます。 2009年5月以降、事件ごとに初公判の6週間前までに、くじで候補者が選ばれて呼び出され、最終的にその中から6名が裁判員として選ばれ裁判に参加しま す。 辞退については、70歳以上の人や学生、重い病気やケガで参加できない人などは1年間を通じて辞退できます。ただし、仕事を理由とした辞退については、単なる「仕事が忙しい」という理由では原則辞退できません。
有給・無給は各企業の判断による
裁判員制度に基づいて裁判に参加することは、いわゆる労働基準法の「公の職務の執行」に当たるため、その時間は保障されねばなりません。多くの就業規則で はその旨の規定がありますが、裁判員の仕事に従事するための休暇制度を設けることは義務付けられていません。したがって、有給か無給かについては、各企業 の判断に委ねられることになります。 有給の場合は、裁判員としての日当と会社の給与を、両方受け取れることになります。また、無給の場合は、裁判員としての裁判への参加意欲が減退することが危惧されます。 裁判所としては、裁判員が仕事を休みやすい環境作りが急務であることから、「裁判員としての仕事を行うための特別な有給休暇制度を作っていただくことが重 要であり、法務省、検察庁、弁護士会とも連携し、各種経済団体、企業等に対し、休暇制度の導入の検討をお願いしている」と、ホームページ上などで説明して います。 正社員はもちろん、派遣社員にも「裁判員休暇」を与える企業や、配偶者が裁判員に選ばれた際に、有給で育児・介護休暇を取得できる制度を導入する企業な ど、積極的に制度に協力する企業も見受けられます。今後、制度が定着するには、企業側のこのような協力が重要な要素となってくることでしょう。
H21.2
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